(No.212)

中国における鳥インフルエンザA(H5N6)のヒト感染例
2016年12月7日更新

 中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は世界保健機関(WHO)に対し、2人の鳥インフルエンザA(H5N6)のヒト感染例が検査で確認されたことを報告しました。
症例の詳細情報
・2016年11月21日、中国湖南省武岡市在住の47歳女性において鳥インフルエンザA(H5N6)のヒト感染を
 認めたことが報告されました。この患者は11月18日に発症し、同日に危篤状態で入院しましたが、20日、
 検査結果に臨床所見および疫学調査の結果を加味することで、同ウイルスに感染していることが確認され
 ました。疫学調査は引き続き行われています。
・2016年12月1日、上記に加えて、広西壮族自治区在住の30歳女性においても鳥インフルエンザA(H5N6)の
 ヒト感染を認めたことが報告されました。この患者は11月8日に発症し、18日に入院しましたが、報告時
 点では危篤状態となっています。この患者は、発症前に死んだ家禽と接触していたことが明らかになって
 います。127人の濃厚接触者が監視されていますが、報告時点において発症者はおりません。疫学調査は
 引き続き行われています。

公衆衛生上の取り組み
 中国政府は、以下のサーベイランスおよび感染制御対策をとっています。
・感染者からの検体の採取と検査の施行
・感染者の治療の強化;感染者に対する疫学調査の実行;濃厚接触者の追跡と管理;濃厚接触者の医学的な
 経過観察
・原因不明の肺炎や季節性インフルエンザに対する定点観測調査の強化;インフルエンザウイルス/鳥インフ
 ルエンザウイルスに関する病因のサーベイランスの強化

WHOのリスク評価
 WHO は、世界インフルエンザ監視・対応システム(GISRS)をとおして、鳥インフルエンザA(H5N6)
およびその他の動物由来感染症の事象について緊密な監視を続けています。これまでのところ、同ウイルスに関する全体的な公衆衛生学的な危険性については変化がありません。同ウイルスは、ヒトにおいて重篤な感染症の原因となりますが、これまでのところこのウイルスの感染は弧発性で持続的なヒト-ヒト感染はないようです。しかし、報告例におけるウイルス株の具体的な危険性については、このウイルスがGISRSの研究室において受領され特徴が明確化されることで分析されていくでしょう。
 国際的に感染が伝播する危険性は現在のところ低いと考えられます。WHOは引き続き、疫学状況を調査し、最新の情報に基づき更なるリスク評価を行っていきます。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Human infections with avian influenza A(H5N6) virus – China
Disease outbreak news
7 December 2016
http://www.who.int/csr/don/07-december-2016-ah5n6-china/en/