(No.28)

仏領マルティニークにおけるギラン・バレー症候群
2016年2月8日

 2016年1月25日、フランスの国際保健規則(IHR)担当窓口は、汎アメリカ保健機構/世界保健機関
(PAHO/WHO)に対して、仏領マルティニークにおいて2人のギラン・バレー症候群(GBS)が
発生したことを報告しました。

症例の詳細情報
1. 19歳の患者。2015年12月26日に手足の麻痺で発症しました。2016年1月7日に採取された尿検体に
おいて、マルティニークの大学病院で行われた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)でジカウイルス
陽性が確認されました。現在のところ、患者は集中治療室で挿管され人工呼吸管理を受けています。
2. 55歳の患者。2016年1月21日に集中治療室に入室しました。同日採取された尿検体において、
マルティニークの大学病院で行われたRT-PCRでジカウイルス陽性が確認されました。現在のところ、
患者は呼吸不全により人工呼吸を受けています。

WHOのリスク評価
 現在のところ、GBSの世界的発症とブラジルでの流行において認められる違いについて理解するには、
現在利用できる情報では不十分です。あるブラジルの州において認めたGBS事例の増加について、潜在的な
理由について不明なままです。この増加の原因を特定するための症例対照研究が現在継続中です。これらの
研究は、ジカウイルスとGBSおよびその他の先天奇形との間の因果関係について、裏付けるあるいは
反証する証拠を提供するでしょう。WHOは、引き続き疫学的状況を監視し、最新の利用できる情報に
基づいたリスクアセスメントを行います。

 WHOはジカウイルス感染の流行しているあるいは流行の疑いのある加盟国に対して次のことを
推奨しています。予測されるベースライン値に対する多様性を特定するために、事象および神経学的異常、
特にGBSに対する監視をおこなうこと;GBS患者の突然の増加によって引き起こされる医療機関への
更なる負担に対処するために、十分な患者対応プロトコールを作成し実行すること;医療関係者に対して
注意喚起を行い、公的および私的機関の臨床医と公衆衛生当局の間の連携を樹立し強化すること。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Guillain-Barré syndrome – France - Martinique
8 February 2016
http://www.who.int/csr/don/8-february-2016-gbs-france-martinique/en/