アメリカ大陸におけるジカウイルス感染症
平成28年2月8日
2016年1月27日から30日までの間に汎アメリカ保健機構/世界保健機関(PAHO/WHO)は、コスタリカ、
キュラソー、ジャマイカ、ニカラグアでのジカウイルス感染症例の報告を受けました。
コスタリカ
1月27日、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)担当窓口は、コスタリカから帰国したジカウイルス
感染症の症例の報告を受けました。
患者はアメリカ合衆国の北東部在住で、1月7日に皮疹と結膜炎と関節痛を伴う発熱にて発症しました。
12月19日から26日までの間、患者は家族2人とコスタリカのNosaraに滞在していました。コスタリカに
滞在中、患者は蚊に数回刺されたとのことです。
患者は、12月30日に症状を認め、1月2日から3日の間に診療所を受診しました。その際に、マラリアの
検鏡検査及びデング熱とチクングニア熱のIgMとIgGは陰性でした。患者は1月7日に再診しました。
民間の検査機関での検査でデング熱のIgMが陽性となりIgGは陰性、チクングニア熱はともに陰性でした。
患者の検体はアメリカ疾病管理予防センター(CDC)に送られ、そこでの検査結果はジカウイルスと
デング熱のIgMは陽性でした。プラック減数中和試験では、ジカウイルスの陽性力価は5120倍で、
デング熱ウイルスの陰性力価は10倍未満でした。
患者は完全に回復しており、一方で共にコスタリカに渡航した他の家族2人は症状は出現して
おりません。
キュラソー
1月28日、オランダのIHR担当窓口はキュラソーでの初めてのジカウイルス感染症例を報告しました。
キュラソーはオランダ王国の構成国でカリブ海の南側でベネズエラの海岸の北側に位置します。
41歳の女性。1月17日に結膜炎、関節痛、筋肉痛、皮疹、下痢で発症しました。1月21日にキュラソーの
Willemstadにある診断分析センターに患者の血清が運ばれ、1月25日、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
(RT-PCR)により診断されました。
現在までのところ、オランダ本国では13人のジカウイルス輸入例が報告されており、全員PCRで
診断されています。全員にスリナムへの最近の渡航歴がありました。
もう一人の輸入例は、今年の初めにキュラソーで診断確定されました。この患者もスリナムへ最近の
渡航歴があります。
ジャマイカ
1月30日、ジャマイカのIHR担当窓口はジカウイルス症例を報告しました。
4歳女児。1月17日に発熱で発症し、1月19日に全身の皮疹、腹痛、眼の奧の痛み、頭痛、嘔吐、
結膜充血を認めました。1月20日には関節痛を認めましたが、24日には症状は軽減しました。
患者はアメリカ合衆国のダラスに渡航し、1月4日にマイアミ経由でジャマイカに帰国しました。
1月21日に患者から血液検体を採取しカリブ公衆衛生庁（CARPHA）に送られ、PCRにより
ジカウイルス感染と診断されました。
ニカラグア
1月27日、ニカラグアのIHR担当窓口は初めてのジカウイルス症例2人を報告しました。
2人ともマナグア在住の女性で、発熱、皮疹、結膜炎を呈しておりました。現在のところ、
2人とも状態は安定しています。ニカラグア保健省の国立診断センターでPCRにより診断されました。
WHOのリスク評価
現地において感染者が発見されたことにより、以前には感染の流行がなかった地域（コスタリカ、
キュラソー、ジャマイカ、ニカラグア）にまでジカウイルス感染が地理的に広がっていることが
示唆されています。これら新しい国における新規患者の発生報告は、全体的なリスク評価を変化させる
ことはありません。ジカウイルス感染を媒介し得る媒介蚊（ヤブカ）が生息している地域に対する世界的
流行の危険性は、世界の様々な地域においてこれらの蚊が地理的に拡散していることによって
裏付けられています。WHOは、引き続き疫学的状況をモニターし、最新の利用できる情報に基づいた
リスクアセスメントを行います。
ジカウイルス感染と小頭症や他の神経学的異常との関連性を指摘した報告がありますが、これらの
事象の因果関係は未だに証明されていません。更に詳細が明らかになるまで、加盟国は、特に
ジカウイルスの流行が知られている地域や危険性のある地域では、小頭症やその他の神経学的異常に
対するサーベイランスを標準化し強化すべきです。
【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Zika virus infection – Region of the Americas
8 February 2016
http://www.who.int/csr/don/8-february-2016-zika-americas-region/en/
キュラソー、ジャマイカ、ニカラグアでのジカウイルス感染症例の報告を受けました。
コスタリカ
1月27日、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)担当窓口は、コスタリカから帰国したジカウイルス
感染症の症例の報告を受けました。
患者はアメリカ合衆国の北東部在住で、1月7日に皮疹と結膜炎と関節痛を伴う発熱にて発症しました。
12月19日から26日までの間、患者は家族2人とコスタリカのNosaraに滞在していました。コスタリカに
滞在中、患者は蚊に数回刺されたとのことです。
患者は、12月30日に症状を認め、1月2日から3日の間に診療所を受診しました。その際に、マラリアの
検鏡検査及びデング熱とチクングニア熱のIgMとIgGは陰性でした。患者は1月7日に再診しました。
民間の検査機関での検査でデング熱のIgMが陽性となりIgGは陰性、チクングニア熱はともに陰性でした。
患者の検体はアメリカ疾病管理予防センター(CDC)に送られ、そこでの検査結果はジカウイルスと
デング熱のIgMは陽性でした。プラック減数中和試験では、ジカウイルスの陽性力価は5120倍で、
デング熱ウイルスの陰性力価は10倍未満でした。
患者は完全に回復しており、一方で共にコスタリカに渡航した他の家族2人は症状は出現して
おりません。
キュラソー
1月28日、オランダのIHR担当窓口はキュラソーでの初めてのジカウイルス感染症例を報告しました。
キュラソーはオランダ王国の構成国でカリブ海の南側でベネズエラの海岸の北側に位置します。
41歳の女性。1月17日に結膜炎、関節痛、筋肉痛、皮疹、下痢で発症しました。1月21日にキュラソーの
Willemstadにある診断分析センターに患者の血清が運ばれ、1月25日、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
(RT-PCR)により診断されました。
現在までのところ、オランダ本国では13人のジカウイルス輸入例が報告されており、全員PCRで
診断されています。全員にスリナムへの最近の渡航歴がありました。
もう一人の輸入例は、今年の初めにキュラソーで診断確定されました。この患者もスリナムへ最近の
渡航歴があります。
ジャマイカ
1月30日、ジャマイカのIHR担当窓口はジカウイルス症例を報告しました。
4歳女児。1月17日に発熱で発症し、1月19日に全身の皮疹、腹痛、眼の奧の痛み、頭痛、嘔吐、
結膜充血を認めました。1月20日には関節痛を認めましたが、24日には症状は軽減しました。
患者はアメリカ合衆国のダラスに渡航し、1月4日にマイアミ経由でジャマイカに帰国しました。
1月21日に患者から血液検体を採取しカリブ公衆衛生庁（CARPHA）に送られ、PCRにより
ジカウイルス感染と診断されました。
ニカラグア
1月27日、ニカラグアのIHR担当窓口は初めてのジカウイルス症例2人を報告しました。
2人ともマナグア在住の女性で、発熱、皮疹、結膜炎を呈しておりました。現在のところ、
2人とも状態は安定しています。ニカラグア保健省の国立診断センターでPCRにより診断されました。
WHOのリスク評価
現地において感染者が発見されたことにより、以前には感染の流行がなかった地域（コスタリカ、
キュラソー、ジャマイカ、ニカラグア）にまでジカウイルス感染が地理的に広がっていることが
示唆されています。これら新しい国における新規患者の発生報告は、全体的なリスク評価を変化させる
ことはありません。ジカウイルス感染を媒介し得る媒介蚊（ヤブカ）が生息している地域に対する世界的
流行の危険性は、世界の様々な地域においてこれらの蚊が地理的に拡散していることによって
裏付けられています。WHOは、引き続き疫学的状況をモニターし、最新の利用できる情報に基づいた
リスクアセスメントを行います。
ジカウイルス感染と小頭症や他の神経学的異常との関連性を指摘した報告がありますが、これらの
事象の因果関係は未だに証明されていません。更に詳細が明らかになるまで、加盟国は、特に
ジカウイルスの流行が知られている地域や危険性のある地域では、小頭症やその他の神経学的異常に
対するサーベイランスを標準化し強化すべきです。
【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Zika virus infection – Region of the Americas
8 February 2016
http://www.who.int/csr/don/8-february-2016-zika-americas-region/en/