(No.32)

コロンビア、ベネズエラにおけるギランバレー症候群
2016年2月12日

 2016年1月30日から2月2日の間にコロンビアとベネズエラの国際保健規則(IHR)担当窓口は
汎アメリカ保健機構/世界保健機関(PAHO/WHO)に対して国家レベルでのギランバレー症候群(GBS)の
増加を報告しました。

コロンビア
 2015年の疫学51週から2016年の3週にかけて86人のGBSが報告されました。コロンビアでは平均して
1年間で242人であり、およそ月19人、週あたり5人程度のGBSが報告されていますので、今回の5週間で
89人とは過去6年間のデータから推測される値の3倍以上となっています。第1報ではこの86人は全て
ジカウイルス感染症の症候を呈していたことがあるとのことです。詳細の分かっている58人中57%は
男性で94.8%は18歳以上とのことです。

ベネズエラ
 2016年1月1日から31日までの間に時間的空間的にジカウイルス感染症との関連が考えられるGBS252人が
報告されています。多くの症例が州地区で報告されていますが、66人はスリア州の主にマラカイボからの
報告です。スリア州における66人のGBSについては6自治体から発生しています。66人のうち30%は
45から54歳で29%は65歳以上となっています。61%は男性、39%は女性となっています。同自治体での
GBSの76%で発症に先立ってジカウイルス感染症の症候既往があることがわかっています。また65%の
症例で合併症を有しています。患者はプラズマフェレーシスか免疫グロブリン投与の治療を受けています。
いずれの治療も同国の保健省が出している基準に基づいて実施されています。ジカウイルス感染の診断は
合併症無しに死亡した1例を含む3例でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により確認されています。
 他に神経学的症候を呈した3人についても生物学的に感染が確定されています。昨年の11月末か2016年
1月28日までの間に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により、192人のジカウイルス感染症が
診断確定されています。その内110人(57%)はスリア州からの報告です。

WHOのリスク評価
 ジカウイルス感染はベネズエラにおけるGBSの3例で確認されたのみです。コロンビアの例では確認されて
いません。GBS患者増加の原因は依然として確定はしていません。同様の患者増加は他の国でも報告されて
おり、特にブラジルとエルサルバドルでみられています。(既報14,27)GBSとの因果関係については
更なる調査が必要です。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Guillain-Barré syndrome – Colombia and Venezuela
12 February 2016
http://www.who.int/csr/don/12-february-2016-gbs-colombia-venezuela/en/