(No.34)

アメリカ合衆国におけるジカウイルス感染症
2016年2月12日

 2016年2月5日アメリカ合衆国国際保健規則担当窓口(IHR)は汎アメリカ保健機構/世界保健機関
(PAHO/WHO)に性的接触によるジカウイルス感染の疑い例を報告しました。
テキサス州ダラスの住人Aは2015年12月末から2016年1月にかけて1週間ベネズエラに旅行していました。
アメリカ合衆国に帰国後ジカウイルス感染症に合致する症状(発熱、発疹、結膜炎、体調不良)を呈して
います。発症前日及び発症後、患者は旅行歴のないBと性的な接触がありました。Aが発症して約1週間後に
Bがジカウイルス感染症に合致する症状(発熱、搔痒疹、結膜炎、小関節炎、体調不良)を呈しています。
検査結果でA,Bともにジカウイルス感染が確定しています。発症後14日経過したAの検体及び発症後4から
7日経過したBの検体からジカウイルスのIgMが検出され、中和反応で中和抗体が検出されています。更なる
検査が実施中です。該当地域の当時の気候では蚊の活動があるとは考えにくく、また採取された昆虫に蚊は
含まれていませんでした。

WHOによる評価
 今回の報告は性交渉によるジカウイルス感染の1例目の報告ではありません。弧発的に性交渉感染は既に
報告されています。性交渉による感染拡大の危険性は限局的です。今回の報告で全体のリスクに影響する
ようなことはありません。なぜならウイルスは蚊刺症によって伝播されるからです。ジカウイルスが媒介
可能蚊であるシマカが生息する地域で世界的に拡がる危険性が存在することが重要であり、シマカの分布は
世界中で広範な地域にわたっています。WHOは流行状況と危険因子の評価を最新の情報に基づいて
実施しています。

【実施】
Emergencies preparedness, response
Zika virus infection – United States of America
Disease Outbreak News
12 February 2016
http://www.who.int/csr/don/12-february-2016-zika-usa/en/