エボラ出血熱の流行状況(77)
平成28年3月2日更新
2016年3月02日、世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
シエラレオネにおいて、2015年11月7日、2014年のエボラ流行に直接関連するヒト-ヒト感染が終息した
ことが宣言されました。シエラレオネでは、その後、見逃された感染の連鎖や保因動物からの再来、
生存者に残存しているウイルスからの再感染を迅速に探索するため、90日間のサーベイランス強化期間に
入っていました。90日間のサーベイランス強化期間に入り68日が経過した1月14日に、シエラレオネに
おいて、病死した22歳の女性における死後のスワブ検体から エボラウイルス陽性が検査で確認され、
新たなEVD確定例として報告されました。1月20日この患者の伯母にあたる人が発症し、検査でEVD陽性が
確定しました。それ以後新たな患者の発生はありません。伯母に当たる人の血液検査(RT-PCR)は2回
陰性であったために2月4日に退院となりました。上記2人に対するすべての接触者は2016年2月11日までに
監視期間を終了しています。この感染集団については3月17日までに患者が発生しなければ終息宣言が
される予定です。
リベリアにおける、最後の集団感染例に関連したヒト-ヒト感染は2016年1月14日に終息しました。
ギニアでは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日間のサーベイランス強化
期間に入っており、2016年3月27日に終了する予定です。
WHOとその他の協力機関の指導のもと、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省は、想定される
1万人以上のEVD感染の生存者の健康を守るための重要なサービスのパッケージを配布する計画があり、
濃厚接触による感染を防止するために必要な予防措置をとることができます。リベリアの300人以上の
男性生存者は2016年1月17日までに精液検査のスクリーニングとカウンセリングサービスをうけました。
更にシエラレオネの2600人以上の生存者は全身健康診断と眼の検査を受けています。
残存するエボラのリスクを管理する第2期の3つの枠組みの鍵となる目的を達成するために、医療従事者や
公衆衛生従事者があらゆる熱性疾患の患者もしくはその死亡の原因をEVDとの関連を疑い報告できるように
するために、WHOはギニア、リベリア、シエラレオネのサーベイランスシステムの強化を実現できるよう
支持しました。2月28日の週にギニアでは1,474件の警告が34県すべてから報告され、コミュニティ内の
死亡の報告は1,467件と殆どを占めていました。同期間にギニアで稼働中の9つの研究所で34県のうち
20県から新規あるいは再検の378検体(生存者から14検体、コミュニティ内の死亡者から378検体)が
検査されました。リベリアでは15州すべてから1062件の警報が報告されそのほとんどの925件は
生存者でした。リベリアで稼働中の5つの研究所では、同期間の間815件の新規と再検査の検体(生存者
から657検体とコミュニティ内の死亡者から158検体)が検査されました。シエラレオネでは14地域から
1865件の警報が報告されました。そのほとんどである1,479件の警報は、コミュニティ内の死亡でした。
シエラレオネの稼働中の7つの研究所では、同期間の間1114件の新規と再検査の検体(生存者から34検体
とコミュニティ内の死亡者から1080検体)を検査しました。
2016年の傾向としては警報の数の増加があげられます。このことは3国共にサーベイランスの能力が
改善している事を示唆しています。検査検体数は毎週一定していますがリベリアとシエラレオネに比べて
ギニアでの検体数の平均が330検体と約3分の1でしかありません。しかし検体提出のある県の数は
増加しており検体採取の地域差は改善されてきています。
表1.
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※4 ギニアは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に入って
います。
【出典】
WHO Ebola
Ebola Situation Report -02 March2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-2-march-2016
要約
シエラレオネにおいて、2015年11月7日、2014年のエボラ流行に直接関連するヒト-ヒト感染が終息した
ことが宣言されました。シエラレオネでは、その後、見逃された感染の連鎖や保因動物からの再来、
生存者に残存しているウイルスからの再感染を迅速に探索するため、90日間のサーベイランス強化期間に
入っていました。90日間のサーベイランス強化期間に入り68日が経過した1月14日に、シエラレオネに
おいて、病死した22歳の女性における死後のスワブ検体から エボラウイルス陽性が検査で確認され、
新たなEVD確定例として報告されました。1月20日この患者の伯母にあたる人が発症し、検査でEVD陽性が
確定しました。それ以後新たな患者の発生はありません。伯母に当たる人の血液検査(RT-PCR)は2回
陰性であったために2月4日に退院となりました。上記2人に対するすべての接触者は2016年2月11日までに
監視期間を終了しています。この感染集団については3月17日までに患者が発生しなければ終息宣言が
される予定です。
リベリアにおける、最後の集団感染例に関連したヒト-ヒト感染は2016年1月14日に終息しました。
ギニアでは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日間のサーベイランス強化
期間に入っており、2016年3月27日に終了する予定です。
WHOとその他の協力機関の指導のもと、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省は、想定される
1万人以上のEVD感染の生存者の健康を守るための重要なサービスのパッケージを配布する計画があり、
濃厚接触による感染を防止するために必要な予防措置をとることができます。リベリアの300人以上の
男性生存者は2016年1月17日までに精液検査のスクリーニングとカウンセリングサービスをうけました。
更にシエラレオネの2600人以上の生存者は全身健康診断と眼の検査を受けています。
残存するエボラのリスクを管理する第2期の3つの枠組みの鍵となる目的を達成するために、医療従事者や
公衆衛生従事者があらゆる熱性疾患の患者もしくはその死亡の原因をEVDとの関連を疑い報告できるように
するために、WHOはギニア、リベリア、シエラレオネのサーベイランスシステムの強化を実現できるよう
支持しました。2月28日の週にギニアでは1,474件の警告が34県すべてから報告され、コミュニティ内の
死亡の報告は1,467件と殆どを占めていました。同期間にギニアで稼働中の9つの研究所で34県のうち
20県から新規あるいは再検の378検体(生存者から14検体、コミュニティ内の死亡者から378検体)が
検査されました。リベリアでは15州すべてから1062件の警報が報告されそのほとんどの925件は
生存者でした。リベリアで稼働中の5つの研究所では、同期間の間815件の新規と再検査の検体(生存者
から657検体とコミュニティ内の死亡者から158検体)が検査されました。シエラレオネでは14地域から
1865件の警報が報告されました。そのほとんどである1,479件の警報は、コミュニティ内の死亡でした。
シエラレオネの稼働中の7つの研究所では、同期間の間1114件の新規と再検査の検体(生存者から34検体
とコミュニティ内の死亡者から1080検体)を検査しました。
2016年の傾向としては警報の数の増加があげられます。このことは3国共にサーベイランスの能力が
改善している事を示唆しています。検査検体数は毎週一定していますがリベリアとシエラレオネに比べて
ギニアでの検体数の平均が330検体と約3分の1でしかありません。しかし検体提出のある県の数は
増加しており検体採取の地域差は改善されてきています。
表1.
国名 | 症例定義 | 症例数 | 21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア※4 | 確定例 | 3,351 | 0 | 2,083 |
可能性例 | 453 | 未報告 | 453 | |
疑い例 | 0 | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 3,804 | 0 | 2,536 | |
リベリア | 確定例 | 3,151 | - | データなし |
可能性例 | 1,879 | - | データなし | |
疑い例 | 5,636 | - | データなし | |
国別総数 | 10,666 | - | 4,806 | |
リベリア※2 | 確定例 | 9 | 0 | 3 |
可能性例 | 未報告 | 未報告 | データなし | |
疑い例 | 未報告 | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 9 | 0 | 3 | |
シエラレオネ※3 | 確定例 | 8,704 | 0 | 3,589 |
可能性例 | 287 | 未報告 | 208 | |
疑い例 | 5,131 | 未報告 | 158 | |
国別総数 | 14,122 | 0 | 3,955 | |
シエラレオネ※5 | 確定例 | 2 | 0 | 1 |
可能性例 | 0 | 0 | 0 | |
疑い例 | 0 | 0 | 0 | |
国別総数 | 2 | 2 | 1 | |
総数 | 確定例 | 15,217 | 2 | データなし |
可能性例 | 2,619 | 未報告 | データなし | |
疑い例 | 10,767 | 未報告 | データなし | |
総数 | 28,603 | 0 | 11,301 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※4 ギニアは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に入って
います。
【出典】
WHO Ebola
Ebola Situation Report -02 March2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-2-march-2016