(No.48)

アルゼンチン、フランスにおけるジカウイルス感染症
2016年3月7日更新

 2016年2月29日から3月1日の週に世界保健機関(WHO)はアルゼンチンとフランスにおける
ジカウイルス感染症患者の報告をしました。

アルゼンチン

 2016年2月29日にアルゼンチンの国際保健規則(IHR)担当窓口は汎アメリカ保健機構/世界保健機関
(PAHO/WHO)に同国ではおそらくはじめてとなるジカウイルス感染例を報告しました。
 患者はコルドバ州在住の女性で2月2日に発症し、2月16日に州中央研究所においてポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)でジカウイルス感染が確定されました。患者は最近ジカウイルス感染症の発生国であるコロンビア
渡航後に同疾患に感染したと考えられる輸入例との関連があります。感染経路については調査中ですが
性感染の可能性が考えられています。両患者の検体は中央研究所に検査のために送付されています。現在、
コルドバ州はデング熱流行地域とされています。地域の保健担当部署は症例の発見に努めるとともに
媒介蚊のコントロール対策を実施しています。

フランス
 2016年3月1日同国の国際保健規則(IHR)担当窓口はWHOに対してジカウイルスの性交渉によると
思われる感染例を報告しました。
 2月24日イル=ド=フランス地域圏の保健省担当部署は同国で初めての性交渉ジカウイルス感染患者(A)を
報告しました。患者は(B)との性交渉後にジカウイルス感染症状(発熱、発疹、関節痛、筋肉痛)を
呈しています。患者Bはブラジル旅行後に2月10日にフランスに帰国していますが2月5日にジカウイルス
感染症と思われる症状を発症しています。患者Aには渡航歴はありません。Aについては唾液と尿、
Bについては尿の検体をPCR検査実施した結果陽性であったことが国家アルボウイルスレファレンス
センターにより確認されています。現在血清学的な評価も実施中です。妊娠はしていないとのことです。

WHOによるアドバイス
 ジカウイルスの性交渉による感染は限定的な物と考えられますが予防としてWHOは以下のことを
推奨しています。
 ジカウイルス感染を受けた全ての人は男女を問わず、またパートナーもジカウイルス感染の潜在的な
危険性、避妊と安全な性交渉の実践についての情報を得るべきであり、可能性のあるときはコンドームの
使用をするべきです。安全でない性交渉を行い,なおかつ感染の心配から妊娠を希望しない女性の場合には
緊急避妊に関するカウンセリングと医療をうけるべきです。
 妊娠中の婦人のパートナーはジカウイルス感染が起こっている地域に今日中している場合、或いはその
地域へ渡航して戻ったというような場合にも安全な性交渉を行うか、妊娠中の性交渉を行わないように
します。
 ジカウイルス感染はほとんどが無症候であるのでジカウイルス感染が起こると考えられる地域に居住して
いる人は性別にかかわらず安全な性交渉を行うか、妊娠中の性交渉を行わないようにします。
ジカウイルス感染が起こると考えられる地域に渡航し、戻ったというような場合には 性別に関わらず
安全な性交渉を行うか、少なくとも戻ってから4週間の間性交渉を行わないようにします。
 ジカウイルス感染症という観点からはずれてみてもWHOは常により安全な性交渉を勧めており、
HIV感染や他の性感染症、望まない妊娠を避ける意味から常に正しいコンドームの使用を勧めています。
WHOはルーチンに精液におけるジカウイルスの検査実施することを推奨はしていません。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease Outbreak News
http://www.who.int/csr/don/7-march-2016-zika-argentina-and-france/en/