(No.51)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-サウジアラビア
2016年3月10日更新

 2016年2月17日から25日の週にサウジアラビア王国の国際保健規則(IHR)担当窓口はWHOに対して
新たに7人のMERS-CoV患者を報告しました。

 症例の詳細は以下の通りです。
1.56歳男性、ハイル市在住。2月20日に発症し23日に入院となっています。患者には合併症があります。
2月24日の検査でMERS-CoV陽性が確定しました。現在患者はICUに収容されており、重篤な状態です。
発症前14日間に既知の危険因子に曝露されたかどうか調査中です。

2.60歳男性、ナジュラーン市在住。2月20日に発症し22日に入院しています。患者には合併症があります。
2月24日の検査でMERS-CoV陽性が確定しました。現在病状は安定しており病棟の陰圧隔離室に収容されて
います。患者はヒツジ、ヤギ、ウシを所有しています。発症前14日間に既知の危険因子に曝露されたか
どうか調査中です。

3.53歳他国籍男性、アブハー市在住。2月11日に発症し、20日に入院しています。患者には合併症が
あります。2月22日の検査でMERS-CoV陽性が確定しました。現在重篤な状態ICUに収容されています。
発症前14日間に既知の危険因子に曝露されたかどうか調査中です。

4.74歳男性、アフィーフ市在住。2月15日に発症し21日に入院しています。患者には合併症があります。
2月22日の検査でMERS-CoV陽性が確定しました。現在状態は安定しており、病棟の陰圧隔離室に収容されて
います。患者はラクダを所有しており、頻回に接触しています。またラクダの生乳の喫食もしていました。
発症前14日間に他の既知の危険因子に曝露された既往はありません。農業省は報告を受けラクダの調査を
実施中です。

5.28歳他国籍女性、アルカルジ市出身の医療従事者でMERS-CoV患者(既報No.42 1例目と2例目)への
接触者として同定されていました。患者には合併症はありません。2月18日の検査でMERS-CoV陽性が
確定しました。現在無症候であり、自宅で隔離されています。発症前14日間に他の既知の危険因子に
曝露された既往はありません。

6.24歳他国籍男性、リヤド市在住。2月14日に発症し、16日に入院しました。患者には合併症は
ありません。2月17日の検査でMERS-CoV陽性が確定しました。現在患者は重篤な状態でICUに収容されて
います。発症前14日間に既知の危険因子に曝露されたかどうか調査中です。

7.53歳男性、リヤド市在住。2月13日に発症し、16日に入院しました。患者には合併症があります。
2月17日の検査でMERS-CoV陽性が確定しました。現在状態は安定しており、自宅で隔離されています。
発症前14日間に既知の危険因子に曝露されたかどうか調査中です。

 患者と接触歴がある家族や介護者の追跡調査が行われています。
 WHOには、2012年9月以降、全世界で 1,651人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち
590人が関連死しています。


【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease Outbreak News
10 March 2016
http://www.who.int/csr/don/10-march-2016-mers-saudi-arabia/en/