(No.52)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-カタール
2016年3月10日

 2016年2月21日カタールの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)に対してMERS-CoV
感染症の1例を報告しました。

 詳細は以下の通りです。
 患者は66歳のカタール人の男性で、約2ヶ月滞在していたサウジアラビアで2月18日に発症し、翌日
サウジアラビアのエルハッサンにある病院に入院し、対症療法後に退院となりました。その後2月20日に
症状が悪化し、同日救急車にてカタールのドーハにある病院に搬送となりました。患者はヘビースモーカーで
合併症があります。2月21日の検査でMERS-CoV陽性となり、3月7日に死亡しました。患者は
サウジアラビアにラクダ小屋を所有しており、頻繁に訪問していました。またラクダとの接触も多く、
ラクダの生乳も喫食していました。発症前14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

 カタール保健省は本症例と接触者の調査を実施しました。呼吸器の分泌物検体を家庭内接触者とカタールで
接触のあった医療従事者から集めましたが、MERS-CoVは陰性でした。家庭内の接触者は患者と接触が
あってから14日間が経過するまで監視されました。

 全ての接触者に対しては、勧告されているMERS-CoV感染防御を受け入れ、呼吸器症状が出現すれば
保健当局に報告するよう保健教育メッセージが伝えられています。保健省により、すべての医療機関で
感染防御とコントロール手段が再強化されてきています。

 サウジアラビアのIHR担当窓口は情報の提供を受け、サウジアラビアで患者が保有していたラクダ及び
接触者についての調査を実施中です。サウジアラビアの家庭内での接触者は誰も発症していません。
今回の事象によりサウジアラビア農業省は関係しているラクダの調査を実施しました。スワブをラクダから
採取し検査をしました。結果については未確定の状態です。

 2012年9月~現在まで世界中からWHOには1,652人の診断確定患者が報告されており、うち591人が
死亡しています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease Outbreak News
10 March 2016
http://www.who.int/csr/don/10-march-2016-mers-qatar/en/