(No.59)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(229)-サウジアラビア
2016年3月21日

 2016年3月13日から14日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関
(WHO)に対して、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を新たに4人報告しました。
これらの報告例のうち1例は、Buraidah市のある病院で現在発生しているMERS-CoV感染に関連したもの
です。

症例の詳細情報
1. 47歳男性。Taif市の住民で3月9日に発症し3月10日に入院しました。患者には基礎疾患がなく、
 3月11日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。現在のところ、患者の状態は落ち着いており、陰圧の
 隔離室に入室しています。患者には、以前報告したMERS-CoV感染者(DON3月16日更新情報〈関空HP:
 海外感染症情報2016 No.55〉の1番目の症例)との接触歴がありました。患者は監視下にあったところ、
 発症後に感染が特定されました。発症前14日以内にその他の既知の危険因子への曝露はありません。

2.45歳男性。Alkharj市の住民で3月11日に発症し3月13日に入院しました。患者には基礎疾患があり、
 3月14日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。現在のところ、患者は危篤状態で集中治療室(ICU)
 に入室しています。患者にはラクダとの頻回の接触歴およびラクダの生乳の喫食歴がありました。発症前
 14日以内にその他の既知の危険因子への曝露はありません。農業省は報告を受け、現在調査を行って
 います。

3.60歳男性。Hail市の住民で3月5日に発熱、嘔気、息切れで発症し、3月10日、現在MERS感染が発生
 しているBuraidah市の病院に入院しました。患者には基礎疾患があり、3月12日にMERS-CoV検査で
 陽性と判明しました。現在のところ、患者は危篤状態で集中治療室(ICU)に入室しています。発症前
 14日以内における既知の危険因子に対して曝露があったかどうかについて、現在調査を継続中です。

4.33歳男性。サウジアラビア国籍のないBuraidah市の住民で、3月2日に発症し、3月10日、Buraidah市に
 ある現在MERS感染が発生している病院に入院しました。患者には基礎疾患がなく、3月12日に 
 MERS-CoV検査で陽性と判明しました。現在のところ、患者は危篤状態で集中治療室(ICU)に入室して
 います。患者は、関連性のない症状で同じ病院に2月23日から入院していた家族のもとを頻回に訪問して
 いました。同院に入院しているMERS-CoV感染者との間の疫学的な関連性ついて、調査を継続中です。
 発症前14日以内にその他の既知の危険因子への曝露はありません。

 患者と接触歴がある家族や介護者の追跡調査が行われています。
 サウジアラビアのIHR担当窓口は、3月14日および16日に報告したMERS-CoV 患者のうち2名
(DON3月14日更新 情報〈関空HP:海外感染症情報2016 No.54〉の8番目およびDON3月16日更新情報
〈関空HP:海外感染症情報2016 No.55〉の4番目の症例)が死亡したことをWHOに対して報告しました。

 WHOには、2012年9月以降、全世界で 1,694人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち
605人が関連死しています。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia
21 March 2016
http://www.who.int/csr/don/21-march-2016-mers-saudi-arabia/en/