(No.62)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-サウジアラビア
2016年3月23日更新

 2016年3月15日から16日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関
(WHO)に対して、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を新たに4人(1人の死亡者を
含む)報告しました。患者の内1人はブライダー市(Buraidah city)の病院で発生したアウトブレイクと
関連しています

症例の詳細情報
1.ブライダー市在住、54歳の他国籍男性。患者は3月4日に発症し、MERS-CoVのアウトブレイクの発生
 している病院に入院しました。発症前患者は同病院に他の関連のない疾患で同科にかかっていました。
 患者には合併症があります。3月14日の検査でMERS-CoV陽性となりました。現在ICUに収容されており、
 重篤な状態です。同病院に入院中の患者あるいは医療従事者との疫学的な繋がりについては調査中です。
 発症前14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

2.ブライダー市在住、84歳男性。患者は3月2日に発症し、9日に入院しました。患者には合併症が
 あります。3月11日の検査でMERS-CoV陽性となりました。3月14日に患者は死亡しています。発症前
 14日内に既知の危険因子への曝露歴があるかについて調査中です。

3.リヤド市在住、45歳男性。患者は2月29日に発症し、3月13日に入院しました。患者には合併症が
 あります。3月14日の検査でMERS-CoV陽性となりました。現在病棟の陰圧室に隔離されており、状態は
 安定しています。発症前14日以内に既知の危険因子への曝露歴があるかについて調査中です。

4.アルカハジ市在住78歳女性。 患者は3月10日に発症し、13日に入院しました。患者には合併症が
 あります。3月14日の検査でMERS-CoV陽性となりました。現在病棟の陰圧室に収容されており、状態は
 安定しています。患者には頻回にラクダの生乳の摂取歴があります。

 患者と接触歴がある家族や介護者の追跡調査が行われています。
 サウジアラビアのIHR担当窓口は、3月14日に報告したMERS-CoV 患者のうち3名(DON3月21日更新
情報〈関空HP:海外感染症情報2016 No.57〉の3.4番目の症例、DON 3月18日更新情報〈関空HP:
海外感染症情報2016 No56〉の2番めの症例)が死亡したことをWHOに対して報告しました。
 WHOには、2012年9月以降、全世界で 1,698人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち
609人が関連死しています。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia
Disease outbreak news
23 March 2016
http://www.who.int/csr/don/23-march-2016-mers-saudi-arabia/en/