(No.66)

鳥インフルエンザA(H7N9)の人感染例―中国
2016年3月23日更新

 2016年3月18日中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は世界保健機関(WHO)に対して11人の死亡を
含む29人の鳥インフルエンザA(H7N9)の人感染例を報告染ました。
 2016年1月17日から2月19日の間に発生。患者の年齢分布は21から78歳で中央値は57歳。29人の内76%
に相当する22人は男性です。83%に相当する24人では家禽との接触、家禽の屠畜、生きた家禽市場での
接触などが報告されています。5人についてはこのような曝露歴がないか、証明されていません。患者は
6省にわたって発生しています。浙江省7人、湖南省7人、江蘇省6人、広東省4人,福建省3人、上海2人と
なっています。

3か所の集団発生についての報告
1.この集団では江蘇省の35歳双子の兄弟が初発で1月19日と2月1日に発症しています。いずれも家禽との
 明らかな接触歴はありません。

2.この集団では浙江省の29歳の男性と福建省の56歳の女性(親子)が初発で2月4日と2月15日に発症して
 います。2名とも生きた家禽市場での曝露歴があります。

3.この集団では江蘇省の21歳の女性と26歳の男性(兄弟)が初発で2月14日と2月19日に発症しています。
 男性には生きた家禽への曝露歴があります。女性はもう一人の患者のケアーをしていましたが家禽への
 曝露歴はありません。

WHOによるリスク評価
 ほとんどのヒト感染例では、生きた家禽市場も含めて感染家禽や、汚染された環境下で鳥インフルエンザ
ウイルス A(H7N9)に曝露されています。ウイルスは動物や環境で検出されますのでさらに患者が増える
ことは予測されます。ヒトにおける同ウイルスへの感染集団は医療従事者も含めて小規模ですが疫学的、
ウイルス学的な証拠からはヒトの間では持続的な感染を起こす能力は獲得していないことが示唆されて
います。それため、コミュニティレベルでの更なる拡大は起こりにくいと考えられます。A(H7N9)への
ヒト感染は現時点で特異なケースであっても今後公衆衛生上の重大な影響がおこるかもしれないため、
ウイルスの変異やヒトへの伝播様式について明らかにするためには詳細な監視が必要とされます。
WHOは最新の情報に基づいて疫学的な状況の評価や更なる危険因子の評価を継続しています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China
Disease outbreak news
23 March 2016
http://www.who.int/csr/don/23-march-2016-avian-ah7n9-china/en/