(No.69)

ドミニカ共和国とキューバにおけるジカウイルス感染症の発生状況
2016年3月29日更新

 3月15日と16日に汎アメリカ保健機構(PAHO)および世界保健機関(WHO)はドミニカ共和国と
キューバにおけるジカウイルスの症例を発表しました。

ドミニカ共和国
 3月15日ドミニカ共和国の国際保健規則(IHR)担当窓口は汎アメリカ保健機構(PAHO)および世界保健機関(WHO)に対し、同国内で感染した第1例目のジカウイルス感染例を報告しました。
 患者は28歳の女性で3月1日と4日に眼窩痛、前頭の痛み、軽度の結膜炎、胸と腕の発疹が出現し、
現在入院しています。ジカウイルスの感染はカリブ公衆衛生庁(CARPHA)の地域基準研究所において
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で確定しました。患者の最近の国外渡航歴はありません。他の家族や
隣人において症状の出現は報告されておりません。
 ドミニカ共和国の保健当局は以下の対策を取っています。
・周囲の環境と同様に環境調査の実行や空間噴霧を含めた患者周囲の住居や仕事場の処理
・官民両部門における教育プログラムの強化
・国家クリーンアップキャンペーンの継続
・医療従事者間のコミュニケーションの継続
・国家や地域の資源を動員

キューバ
 3月16日キューバの保健省は報道発表を通じて、同国内で感染した第1例目のジカウイルス感染例を
報告しました。
 患者はハバナ中部に住む21歳の男性で、最近の国外渡航歴はありません。3月7日頭痛と眼窩痛と結膜炎が
出現し、3月9日病院で血液を採取し、14日Pedro Kouri熱帯医学研究所におけるPCR検査にてジカウイルス
感染が確定しました。
 キューバの保健当局は以下の対策を取っています。
・ソーシャルリスクコミュニケーションの実行
・媒介蚊のコントロールの強化と蚊の繁殖地の排除

WHOのリスク評価
 ジカウイルスの国内感染患者の発見は、これまでに感染の発生のなかった地域(ドミニカ共和国や
キューバ)にもウイルスが地理的に広がっていることを示しています。新たな国からの国内での感染伝播の
報告による全体でのリスク評価には変更ありません。有力な媒介昆虫であるネッタイシマカおよびヒトスジ
シマカなどのヤブカ属が生息する地域におけるジカウイルスの拡がりは、世界中のさまざまな地域に
これらの蚊が広く地理的に分布していることが重大であることを示しています。WHOは利用可能な最新の
情報に基づき、疫学的な発生状況を監視しリスク評価を行っていきます。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Zika virus infection – Dominica and Cuba
Disease Outbreak News
29 March 2016
http://www.who.int/csr/don/29-march-2016-zika-dominica-and-cuba/en/