エボラ出血熱の流行状況(79)
平成28年3月30日更新
2016年3月30日、世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・3月29日、9回目となるエボラ出血熱(EVD)に関する国際保健規則(IHR2005)緊急委員会が
西アフリカで開催されました。WHO事務局長は、委員会の勧告と自身の状況分析に基づき、西アフリカに
おけるEVD流行に関する国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)が終了したことを宣言
しました。委員会は、ギニアにおける前回の会合以来、リベリアとシエラレオネにおいて、全例でエボラ
ウイルス伝播の連鎖が中断されたことを示す基準に達したこと、また、最近ギニアで発生した症例を含めて
予想通り新たなEBD群発例が引き続き発生しているにもかかわらず、全ての群発例がこれまでのところ特定
され迅速に対応されていることに言及しています。
・ギニアにおいて、2015年12月29日に発生した流行に直接関連したEVD感染が終息したことを宣言
しました。2016年3月17日、ギニア南東部ゼレコレ県において2例の確定例と3例の可能性例が報告され
ました。3月21日、26日、28日にそれぞれ、新たな3例の確定例が報告されました。Koropara支庁地域で
発生した全ての確定例は症状を認めています。3月21日と26日に報告された症例は最初の群発例と高リスク
の接触がありましたが、3月28日に確認された症例の状況はまだ明かではありません。5例の確定例全てに
おいて、Koropara支庁地域において発生した3例の可能性例(30代後半の2名の女性および50代後半の
男性で、2月27日から3月15日の間に死亡し、安全な方法で埋葬されませんでした。)との間に疫学的な
関連を認めました。調査によって、最初の可能性例(30代後半の女性)は2016年2月15日前後に発症した
ことが明かになっています。この患者の感染源は調査中です。ウイルス配列データによると、確定例のうち
1例の血液において、2014年11月にギニア南東部において感染の循環が確認されたウイルスとの関連性が
示唆されました。この群発例に関連した1033例の接触者がこれまで特定されており、そのうち171例が
高リスクと考えられています。10例を除いて全ての接触者が追跡されています。首都コナクリを含む西部の
県からの30人を超える疫学専門家を再配置することにより、対応の強化が図られています。それに加え
4つの村において、住民に対して定期的な検査を行い、近隣地域を離れることを許可しないという法令を
制定しています。ワクチン接種チームは、3月22日、接触者および二次接触者に対するワクチン接種を
開始しました。接触者数は多いので、新たな感染例はあり得るでしょう。3月30日に報告された疑い例は、
現在、エボラ治療センターで観察下にあります。
・現在進行中であるウイルス持続性に関する研究の一部として検査された症例は含みませんが、リベリアに
おける350名の男性生存者は精液スクリーニング検査とカウンセリングを受けています。それに加え、
シエラレオネにおける2,600名を越える生存者は、一般健康診断と眼検査を受けています。
・WHOは、EVDの再輸入や再興感染の残った危険性に対応するために、ギニア、リベリア、シエラレオネ
において、当局がEVDに関連した可能性のある熱発例や死亡例に注意を払うよう、サーベイランスシステム
の強化を支援しています。ギニアでは、3月27日までの週で、1,512の警告が34県全てから報告され、
同期間に、同国で稼働中の9つの研究所において、34県のうち19県から採取された新規および再検査の
計434検体が検査されました。リベリアでは、15州すべてから861件の警報が報告され、同期間に、同国で
稼働中の5つの研究所において、新規および再検査の計730検体が検査されました。シエラレオネでは、
3月20日までの週で、14地域から1,220件の警報が報告され、同期間に、同国で稼働中の7つの研究所に
おいて、新規および再検査の計911検体が検査されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※1 2015年12月28日以前の症例です。
※2 2015年5月9日以前の症例です。
※3 2015年11月7日以前の症例です。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 30 March 2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-march-2016
要約
・3月29日、9回目となるエボラ出血熱(EVD)に関する国際保健規則(IHR2005)緊急委員会が
西アフリカで開催されました。WHO事務局長は、委員会の勧告と自身の状況分析に基づき、西アフリカに
おけるEVD流行に関する国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)が終了したことを宣言
しました。委員会は、ギニアにおける前回の会合以来、リベリアとシエラレオネにおいて、全例でエボラ
ウイルス伝播の連鎖が中断されたことを示す基準に達したこと、また、最近ギニアで発生した症例を含めて
予想通り新たなEBD群発例が引き続き発生しているにもかかわらず、全ての群発例がこれまでのところ特定
され迅速に対応されていることに言及しています。
・ギニアにおいて、2015年12月29日に発生した流行に直接関連したEVD感染が終息したことを宣言
しました。2016年3月17日、ギニア南東部ゼレコレ県において2例の確定例と3例の可能性例が報告され
ました。3月21日、26日、28日にそれぞれ、新たな3例の確定例が報告されました。Koropara支庁地域で
発生した全ての確定例は症状を認めています。3月21日と26日に報告された症例は最初の群発例と高リスク
の接触がありましたが、3月28日に確認された症例の状況はまだ明かではありません。5例の確定例全てに
おいて、Koropara支庁地域において発生した3例の可能性例(30代後半の2名の女性および50代後半の
男性で、2月27日から3月15日の間に死亡し、安全な方法で埋葬されませんでした。)との間に疫学的な
関連を認めました。調査によって、最初の可能性例(30代後半の女性)は2016年2月15日前後に発症した
ことが明かになっています。この患者の感染源は調査中です。ウイルス配列データによると、確定例のうち
1例の血液において、2014年11月にギニア南東部において感染の循環が確認されたウイルスとの関連性が
示唆されました。この群発例に関連した1033例の接触者がこれまで特定されており、そのうち171例が
高リスクと考えられています。10例を除いて全ての接触者が追跡されています。首都コナクリを含む西部の
県からの30人を超える疫学専門家を再配置することにより、対応の強化が図られています。それに加え
4つの村において、住民に対して定期的な検査を行い、近隣地域を離れることを許可しないという法令を
制定しています。ワクチン接種チームは、3月22日、接触者および二次接触者に対するワクチン接種を
開始しました。接触者数は多いので、新たな感染例はあり得るでしょう。3月30日に報告された疑い例は、
現在、エボラ治療センターで観察下にあります。
・現在進行中であるウイルス持続性に関する研究の一部として検査された症例は含みませんが、リベリアに
おける350名の男性生存者は精液スクリーニング検査とカウンセリングを受けています。それに加え、
シエラレオネにおける2,600名を越える生存者は、一般健康診断と眼検査を受けています。
・WHOは、EVDの再輸入や再興感染の残った危険性に対応するために、ギニア、リベリア、シエラレオネ
において、当局がEVDに関連した可能性のある熱発例や死亡例に注意を払うよう、サーベイランスシステム
の強化を支援しています。ギニアでは、3月27日までの週で、1,512の警告が34県全てから報告され、
同期間に、同国で稼働中の9つの研究所において、34県のうち19県から採取された新規および再検査の
計434検体が検査されました。リベリアでは、15州すべてから861件の警報が報告され、同期間に、同国で
稼働中の5つの研究所において、新規および再検査の計730検体が検査されました。シエラレオネでは、
3月20日までの週で、14地域から1,220件の警報が報告され、同期間に、同国で稼働中の7つの研究所に
おいて、新規および再検査の計911検体が検査されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 | 症例定義 | 症例数 | 21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア※1 | 確定例 | 3,351 | - | 2,083 |
可能性例 | 453 | - | 453 | |
疑い例 | 0 | - | データなし | |
国別総数 | 3,804 | - | 2,536 | |
ギニア | 確定例 | 4 | 4 | 4 |
可能性例 | 3 | 3 | 3 | |
疑い例 | 未報告 | 未報告 | 未報告 | |
国別総数 | 7 | 7 | 7 | |
リベリア※2 | 確定例 | 3,151 | - | データなし |
可能性例 | 1,879 | - | データなし | |
疑い例 | 5,636 | - | データなし | |
国別総数 | 10,666 | - | 4,806 | |
リベリア | 確定例 | 9 | 0 | 3 |
可能性例 | 未報告 | 未報告 | データなし | |
疑い例 | 未報告 | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 9 | 0 | 3 | |
シエラレオネ※3 | 確定例 | 8,704 | 0 | 3,589 |
可能性例 | 287 | 未報告 | 208 | |
疑い例 | 5,131 | 未報告 | 158 | |
国別総数 | 14,122 | 0 | 3,955 | |
シエラレオネ | 確定例 | 2 | 0 | 1 |
可能性例 | 0 | 0 | 0 | |
疑い例 | 0 | 0 | 0 | |
国別総数 | 2 | 2 | 1 | |
総数 | 確定例 | 15,221 | 4 | データなし |
可能性例 | 2,622 | 3 | データなし | |
疑い例 | 10,767 | 未報告 | データなし | |
総数 | 28,610 | 7 | 11,308 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※1 2015年12月28日以前の症例です。
※2 2015年5月9日以前の症例です。
※3 2015年11月7日以前の症例です。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 30 March 2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-march-2016