(No.73)

フランス領マルティニークにおける小頭症の発生状況
2016年4月1日更新

 2016年3月24日フランスの国際保健規則(IHR)担当窓口は汎アメリカ保健機構(PAHO)および
世界保健機関(WHO)に対し、胎児における小頭症とジカウイルス感染症を報告しました。
 3月10日に妊娠22週1日の妊婦の胎児から小頭症が見つかりました。3月17日に胎児から検体を採取し、
マルティニークのフォール・ド・フランスにある大学病院にて検査を行いました。羊水と胎児の血液検体の
両方からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によりジカウイルスが検出されました。3月22日にアルボウイルス
に関する国家基準検査施設にてジカウイルスの感染を確認しました。
 12月7日に患児の母体から採取された血清の検査からフラビウイルスとアルファウイルスの感染が確認
されました。1月7日に実施された2回目の血清の検査からはジカウイルスに対するIgM抗体と同様にフラビ
ウイルスとチクングニアウイルスに対するIgG抗体も検出されました。2月11日に実施された3回目の血清の
検査からはフラビウイルスとチクングニアウイルスに対するIgG抗体の存在が再び確認されました。
 これらの検査から母親がジカウイルス感染陽性であるという証拠になりました。母親に対して妊娠中絶を
勧めました。

WHOによるリスク評価
 本症例はマルティニークにおけるジカウイルスに感染した胎児から小頭症が検出された最初の症例です。
この報告は母親と胎児においてジカウイルス感染の予期される考察について提供されたため重要です。
 この提示された情報から母親と胎児が感染している時の妊娠の段階の推定が可能となります。これにより
最初に母親が感染した後、胎児がPCR検査においてジカウイルス陽性となる期間が示されます。またこの
報告から妊娠初期のジカウイルス感染と小頭症のリスクの増加において関連性があるという証拠が提供
されています。しかし小頭症のような先天性異常におけるジカウイルス感染の役割を理解し、いかなる
原因との繋がりを確立するためにはさらなる調査が必要です。WHOは利用可能な最新の情報に基づいて、
疫学的な発生状況を監視しリスク評価を行っています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Microcephaly – France - Martinique
Disease Outbreak News
1 April 2016
http://www.who.int/csr/don/1-april-2016-microcephaly-france/en/