(No.74)

中国における黄熱患者
2016年4月6日更新

 2016年3月18日から4月1日の間に中国の国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)に
対して新たに8人の黄熱患者を報告しました。
 患者は最近アンゴラから中国に帰国した中国の福建省(6人)江蘇省(1人)、四川省(1人)出身者です。
患者の年齢分布は36歳から53歳で中央値44歳です。5人(62.5%)は男性です。患者は3月5日から17日の
間に発症しています。ワクチンの接種状況について判明しているのは5人ですが彼らはいずれもアンゴラ
渡航前に黄熱ワクチンを接種していませんでした。1人はアンゴラ到着後にワクチン接種をしていましたが
接種後4日以内に発症しており、ワクチンによる予防効果が有効になる前に感染したと思われます。
現在まで、アンゴラから中国への輸入例となった黄熱の患者は9人となっています。

公衆衛生対策
 中国政府は以下の様な対策を実施しています。
*多面的な協力と援助
*サーベイランスの強化、媒介動物のモニター、リスク評価
*黄熱患者の治療強化
*媒介動物のコントロール強化
*公衆衛生上のリスクコミュニケーション活動の実施
*ワクチン未接種の中国人に対するワクチン接種のための医療チームの配置

WHOによるリスク評価
 今回の黄熱の報告はIHR(2005)に基づいてワクチン接種実施が再強化される必要がある国からの帰国者で
未接種者か感染したという報告です。さらにワクチン未接種者により、黄熱が国際間に拡がるという点が
最重要ポイントです。しかしながら媒介蚊であるネッタイシマカにとって不都合な現在の中国の気候から
すれば国内で感染の地域的なサイクルが発生する危険性は低いと考えられます。WHOは最新の有用な情報に
基づいて、引き続き疫学的な状況のモニターと危険因子の評価の実施を継続していきます。

WHOによる勧告

 WHOは加盟国に対して特に(例えば媒介動物が存在するような)地域での感染サイクルが確立しうる
様な加盟国に対しては地域流行の可能性のある国へ渡航者に対して免疫獲得の実施強化をおこなうように促しています。
 WHOは最新の有効な情報に基づき、中国への渡航や交易に関するいかなる制限も推奨はしていません。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Yellow Fever – China
Disease Outbreak News
6 April 2016
http://www.who.int/csr/don/6-april-2016-yellow-fever-china/en/