(No.77)

コンゴ民主共和国における黄熱
2016年4月11日

 2016年3月22日、コンゴ民主共和国(DRC)の国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)に
対して現在のアンゴラでの黄熱(YF)アウトブレイクと関連した患者の報告をしました。
 同国のサーベイランスシステムによりますと今年の1月初めから3月22日までに21人の死者を含む151人の
YF疑い患者が報告されています。151人中、9人はキンシャサの国家生物医学研究所(INRB)で血清学的
(IgM)に診断されています。他のアルボウイルスとの交叉反応を考慮してIgM陽性の検体は確認のために
ダカールにあるパスツール研究所に送られ、4検体は黄熱と確定されました。この4検体のうち3検体の患者は
アンゴラからの輸入患者でコンゴ中央州(旧名バ-コンゴ州)のキトーナ、カンプズ、ソナパニュの患者
です。コンゴ中央州はアンゴラと接しています。

公衆衛生対策
 コンゴ民主共和国政府はアウトブレイク対策のための国家委員会を立ち上げ、今回の出来事に対処して
います。それらには、協力体制の確立、社会的動員とコミュニティの関わり、医療従事者のトレーニングを
通してのサーベイランスの強化、症例定義の周知、入国地点でのスクリーニングと衛生状態のコントロール、
難民に対するワクチン接種状況のスクリーニングなどが含まれます。さらに、その他の活動として、アンゴラ
に渡航する人に対するワクチン接種や、媒介蚊のコントロール、患者の管理などがあげられます。
 WHOやパートナーの支援のもと、今後アンゴラからの輸入例が発生した時に起こりうる対応への備えを
改善するための緊急事態対策計画を、同国は策定しました。コンゴ中央州にある国レベルの学際的チームが
患者に関する詳しい情報を集め、対策的ワクチン接種戦略の準備強化のために地域に派遣される予定です。

WHOによる危険因子評価
 DRCはYFが風土病として知られている地域にあり、現地発生例が定期的に報告されています。2016年
1月以来、現地発生疑い例はバ=ユル州、赤道州、中部カサイ州、ツアパ州で発生しています。
 しかしアンゴラから帰国した人の黄熱感染者報告はYFの国際的な拡大の危険性を強調したことになり
ます。現段階ではDRC内での感染サイクルが成立したことを示唆する情報はありません。媒介蚊である
ネッタイシマカが存在し、国民の多くにYF感染の感受性があり、アンゴラとの間で人の往来が激しい事は
DRCで更なる拡大がおこる深刻な危険性があることを示しています。
 WHOは最新の有用な情報に基づいて、疫学的状況のモニターを継続し危険因子評価を継続していきます。

WHOによるアドバイス
 WHOは加盟国のうち特に媒介蚊が存在し、地域内で感染サイクルが成立する可能性のある国に対して、
地域流行をしている国に渡航する旅行者へのワクチン接種の強化を行うように促しています。
 WHOは最新の有用な情報に基づいてDRCへの渡航や交易のいかなる制限も推奨はしていません。

【出典】
Emergencies,Preparedness,Redponse
Yellow Fever – Democratic Republic of the Congo
Disease Outbreak News
11 April 2016
http://www.who.int/csr/don/11-april-2016-yellow-fever-drc/en/