(No.79)

ベトナムにおけるジカウイルス感染症
2016年4月12日

 2016年4月5日、ベトナムの国際保健規則(IHR)担当窓口は、世界保健機関(WHO)に対して、
現地で感染した2例のジカウイルス感染例が検査で確認されたことを報告しました。

1.患者はNha Trang在住で、3月26日に発熱、発疹、結膜炎、頭痛を発症しました。3月31日、患者は
 Nha Trangにあるパスツール研究所においてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりジカウイルス感染が
 陽性であることが確認されました。4月4日、この結果はHo Chi Minh市にあるパスツール研究所と
 ベトナム国立衛生疫学研究所において再確認されました。

2.患者はHo Chi Minh市在住で、3月29日に発疹、結膜炎、不快感を発症しました。3月31日、患者は
 Ho Chi Minh市にあるパスツール研究所においてPCRによりジカウイルス感染が陽性であることが確認
 されました。4月2日、この結果はベトナム国立衛生疫学研究所において、4月4日に長崎大学において
 再確認されました。

 4月4日現在、ベトナム国立衛生疫学研究所およびHo Chi Minh市とNha Trangのパスツール研究所に
おいて、ベトナムの32省に在住でジカウイルス感染の症状を呈した人々から採取された1,215検体を検査
しましたが、その他のジカウイルス感染例は見つかっておりません。

公衆衛生上の取り組み
 ベトナムの保健当局は次の対策を行っています。
・サーベイランスおよび媒介蚊対策の強化
・リスクコミュニケーションの実行と、ジカウイルスおよびその他の蚊媒介感染症の予防と対策のための
 手段に関する情報の提供
・妊婦の健康状態を監視し、ジカウイルス感染によって発症し得る胎児合併症を発見するための措置を
 とること
・医療サービスの潜在的な需要増加の可能性に備え、産科小児科部門を含めた医療施設を支援すること
・ジカウイルスに対する予防と対策に対して、適切な資金や物資の割り当てを確実に行う こと

WHOのリスク評価
 これらの患者は、2016年にベトナムにおいて初めてとなるジカウイルスの現地感染例です。この発生
報告により全体的なリスク評価が変更されることはありません。ジカウイルス感染を媒介し得る媒介蚊
(ヤブカ)が生息している地域に対する世界的流行の危険性は、世界の様々な地域においてこれらの蚊が
地理的に拡散していることによって裏付けられています。WHOは、引き続き疫学的状況を監視し、最新の
利用できる情報に基づいたリスク評価を行います。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Zika virus infection – Viet Nam
 12 April 2016
http://www.who.int/csr/don/12-april-2016-zika-viet-nam/en/