(No.82)

チリにおけるジカウイルス感染症
2016年4月15日

 2016年3月26日、チリの国際保健規則(IHR)担当窓口は、汎アメリカ保健機構/世界保健機関(PAHO/
WHO)に対して、性交渉で感染したジカウイルス感染例が確認されたことを報告しました。この患者は、
ヤブカ(媒介蚊)が存在しない大陸側のチリ領において現地感染した初めての感染例となります。

 この患者(A氏)は、2月4日に発疹、耳介後リンパ節腫大、結膜炎、関節炎といったジカウイルス感染症に
矛盾しない症状を発症しました。患者の配偶者(B氏)は、ジカウイルスの現地感染が知られている国へ
旅行した後、同ウイルス感染に矛盾しない症状を発症していました。

 A氏においてジカウイルスに対するIgMとIgGが陽性であることにより、B氏においても同ウイルスの
IgMとIgGが陽性でありデングウイルスのIgMが陰性であることにより、ジカウイルス感染が確認され
ました。

公衆衛生上の取り組み
 チリの保健当局は次の対策を行っています。
・より安全な性交渉の方法について、リスクコミュニケーションの実行
・ジカウイルスが広まっている地域への旅行者に対して、帰還後にジカウイルス感染に関連した症状を
 呈した場合に、医学的な支援を求めるように忠告すること

WHOのリスク評価
 性交渉によって感染した散発例は過去にすでに報告されています。このウイルスは一次的には蚊刺を
通じて人々への感染を拡大するので、これらの性感染例によって全体的なリスク評価が変更されることは
ありません。ジカウイルス感染を媒介し得る蚊(ヤブカ)の広範な地理的分布を鑑みると、この媒介蚊が
生息する地域へウイルスが地球規模に拡散するリスクは重大である。WHOは、引き続き疫学的状況を
監視し、最新の利用できる情報に基づいたリスク評価を行います。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Zika virus infection – Chile
15 April 2016
http://www.who.int/csr/don/15-april-2016-zika-chile/en/