(No.84)

ペルーにおけるジカウイルス感染症
2016年4月21日

 2016年4月17日、ペルーの国際保健規則(IHR)担当窓口は、汎アメリカ保健機構/世界保健機関
(PAHO/WHO)に対して、性行為によるジカウイルス感染患者を報告しました。これはペルーにおける
最初のジカウイルス感染例です。

 32歳の女性です。リマ州出身で3月28日に発症しました。患者には渡航歴はありませんでした。発症する
前に、ジカウイルスの影響を受けた国から帰国したパートナーとの安全性を欠いた性交渉がありました
(渡航期間2月26日から3月14日)。パートナーは3月16日に発症しました。パートナーから血清と尿、精液が
検体として採取され国立衛生研究所で検査され、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)でジカウイルス
陽性でした。
 一方、患者の血清と尿が3月30日と4月6日に採取され国立衛生研究所で検査され、それぞれRT-PCRで
ジカウイルス陽性でした。
 患者の居住地域での昆虫学的な調査により、媒介蚊は確認されませんでした。

公衆衛生上の取り組み
 ペルーの保健機関は以下の対策を述べています:
・ ジカウイルス感染が蔓延している地域へ渡航した人が、帰国後ジカウイルス感染に関連した症状が
 現れたときにアドバイスを提供する
・ 疫学的監視の強化により輸入例か現地感染例かをすぐに検出する
・ 昆虫学的監視を実施する

WHOのリスク評価
 性交渉によって感染した散発例は過去にすでに報告されています。このウイルスは一次的には蚊刺を
通じて人々への感染を拡大するので、これらの性感染例によって全体的なリスク評価が変更されることは
ありません。WHOは疫学的状況を監視し入手可能な最新の情報に基づいたジカウイルス感染を媒介し得る
蚊(ヤブカ)の広範な地理的分布を鑑みると、この媒介蚊が生息する地域へウイルスが地球規模に拡散する
リスクは重大です。WHOは利用しうる最新の情報に基づいて疫学的状況のモニターと危険因子の評価を
継続していきます。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
 Zika virus infection – Peru
21 April 2016
http://www.who.int/csr/don/21-april-2016-zika-peru/en/