(No.85)

アメリカ合衆国におけるエリザベトキンギア症
2016年4月21日

 2016年4月11日、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)担当窓口は、汎アメリカ保健機構/世界保健機関
(PAHO/WHO)に対して、エリザベトキンギアアノフェリス菌によるアウトブレイクを報告しました。
 2015年11月1日から2016年3月30日の間に、18人の死亡を含む合計57人がウィスコンシン州(56人)と
ミシガン州(1人)から報告されました。症例のほとんどは血液から菌が分離されましたが、他の症例は
呼吸器系臓器や関節などの他の部位から菌が分離されました。
 ほとんどの症例が65歳以上であり重篤な基礎疾患がありました。このアウトブレイクに関連した死亡の
原因がこの細菌感染なのか、患者自身の基礎疾患なのか、その両方に起因したかどうかははっきりして
いません。
 水源や医療施設、薬物、身体をケアするための製品を含む可能性があるあらゆる原因について調査されて
いますが、現在のところまだ原因は特定されていません。調査は進行中です。

公衆衛生上の取り組み
 アメリカ合衆国の保健省は以下の対策を述べています
・エリザベトキンギアアノフィリス症に対して抗生剤を投与する
・州全体ですべての医療従事者と感染症防御の専門家と研究所に、感染管理と抗菌感受性パターンに
 関する情報を提供する

WHOのリスク評価
 エリザベトキンギアアノフィリス感染症は通常は土壌や水などの環境中に見られますが、稀にヒトに感染
します。以前にも医療機関において、小さく限局的なアウトブレイクが報告されました。アメリカ合衆国
での現在のアウトブレイクは、エリザベトキンギア感染症のアウトブレイクとしては記録上知られている
最大規模となっています。本細菌の感染経路は未知であること、重篤な基礎疾患のある人がもともと感染
しやすいことを考慮するとさらに感染者が増えることも考えられます。PAHO/WHOは利用しうる最新の
情報に基づいて疫学的状況のモニターと危険因子の評価を継続していきます。

WHOからのアドバイス
 PAHO/WHOは各国の保健当局に対して、エリザベトキンギアアノフィリスのいかなる集団感染例や
その集団感染の潜在的な確定した原因について、IHR(2005)の下にある制定された連絡方法により報告する
ように促しています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Elizabethkingia – United States of America
Disease outbreak news
21 April 2016
http://www.who.int/csr/don/21-april-2016-elizabethkingia-usa/en/