(No.98)

ジカウイルス感染症の流行状況(1)
平成28年4月28日更新

 2016年4月28日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

ジカウイルス感染症-小頭症とギランバレー症候群-
・4月27日時点で、55の国と地域から蚊媒介性感染症が報告され続けており、うち42か国で各国における
 初めてのジカウイルス感染症流行が報告されています(図1)。
・蚊媒介性感染症(表1)
・2015年以来、42か国で初めてのジカウイルス感染症の流行が報告されましたがこれらの国では過去に
 同ウイルスの循環がなく、現在もこの蚊媒介感染症の伝播が継続しています。
・13か国では2007年から2014年の間にジカウイルス感染症の感染伝播が報告され、現在もこの伝播が継続
 しています。
・4つの国と地域(クック諸島、フランス領ポリネシア、チリのイースター島、ミクロネシア連邦政府観光局
 のヤップ島)では2015年以降報告がありましたが、現在流行は終息しています。
・ヒト-ヒト伝播(表2)
・9か国において、ジカウイルスが性交渉によってヒト-ヒト感染することが報告されています。
・4月27日末の週に、ジカウイルス感染症を報告した新たな国はなく、ヒト-ヒト感染の最終報告はカナダ
 からありました。
・ジカウイルス感染症との関連性が疑われる小頭症や他の胎児奇形や先天性感染を示唆する所見は6つの国と
 地域から報告されています(表3)。ブラジルでの滞在歴と関連のある2症例がスロベニアとアメリカで
 報告されました。さらに、アメリカからメキシコ、グアテマラ、ベリーズでの短期滞在に関連した妊婦の
 症例が報告されています。
・ジカウイルスの循環と関連して、13の国と地域でギランバレー症候群(GBS)の発生率とGBS患者で
 ジカウイルス感染確定例が増加していると報告しています。
・これまでの研究によると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因となる科学的根拠があると
 言えます。
・世界保健機関(WHO)は戦略的枠組みとして、包括的な監視と活動や研究を踏まえた世界的な予防・
 管理戦略を立ち上げました(表5)。
・WHOはジカウイルスに対して新たな助言や多様なトピックの情報を公開しています。リスクコミュニケー
 ションやコミュニティーの取り決めに関するWHOの最新資料やニュース、対策はオンラインから入手可能です。
リスク評価
 全体的な世界的リスク評価は4月21日から変更されていません。ジカウイルスは有能な媒介者が存在する
地域に地理的に拡がり続けています。いくつかの国や地域ではジカウイルス感染症例が減少していますが、
引き続き高度の警戒が必要です。現段階で、WHOは証拠に基づき全体的な流行の減衰は示唆していません。

図 2013-2016年のジカウイルスの世界的拡がり


【出典】
WHO, Zika
ZIKA Situation Report - 28 APRIL 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/28-april-2016/en/