(No.99)

黄熱の流行状況
平成28年4月28日更新

 2016年4月28日、世界保健機関(WHO)は黄熱の流行状況を更新しました。

黄熱
・黄熱(YF)の流行は2015年12月末にアンゴラで報告され、2016年1月20日にダカールのパスツール
 研究所で確認されました。黄熱患者数の急激な増加は2016年1月中旬以降に認められています。
・4月26日時点で、2,023人の疑い例と258人の死亡例がアンゴラから報告されており、うち653人が
 診断確定(70%がルアンダ州からの報告)しています。4月24日末の週には、115人の疑い例、8人の
 死亡例、新たに36人の診断確定例が報告されました。
・コンゴ、ナミビア、ザンビアではYFの疑い例は報告されていません。ナミビアとザンビアはアンゴラと
 長く抜け穴だらけの国境を共有しているため、3か国間での人口移動を制御するのは困難です。ナミビアと
 ザンビアの2か国では特に国境を越える旅行者のためにワクチンの確保とYFのリスク再評価といった
 WHOからの支援を要請しています。
・中国(11人の診断確定例)、コンゴ民主共和国(DRC)(16人の診断確定例)、ケニア(2人の診断
 確定例)の3か国はアンゴラからのYF輸入症例を報告しています。これらの症例は免疫を持たない
 (ワクチン非接種)旅行者を介してYFが世界的に拡大する危険性の高さを強調しています。
・2016年3月22日、DRCの保健省はアンゴラでの流行に関連したYF患者をWHOに報告しました。同国は
 4月23日に正式にYFの流行宣言をしました。
・4月26日、DRCで37人(16人の診断確定例と21人の疑い例)のYF患者が報告されました(図3)。
 16人の診断確定例全てにアンゴラへの渡航歴がありました。21人の疑い例の検査結果は保留のままです。
 さらに、疑い例のうち少なくとも地方出身の2人はキンシャサとコンゴ中央州のマタディでYF感染が
 報告されています。
・2016年4月9日、ウガンダではWHOに同国南西部のマサカ県でYF患者を報告しました。4月21日、同国
 東部のルクンギリ県で新たに1人の診断確定例が報告されました。4月27日時点で、7県から37人の疑い
 例が報告されています。6人(5人はマサカ県、1人はルクンギリ県)は検査により診断確定しています。
 有用な情報によりますと、ウガンダでのYF流行は疫学的にアンゴラでの流行との関連はないようです。
・アンゴラのウアンボ州とベンゲラ州でのワクチンキャンペーンは最近の2週間でそれぞれ対象人口の59%
 以上と70%以上を達しました。ウイルスの循環を遮断するために、ワクチン接種率を増加させる必要が
 あります。
・DRCとウガンダはGAVI(GAVI、ワクチンと予防接種のための世界同盟/The Global Alliance for Vaccines
  and Immunization)アライアンス適格国であるため、GAVIによってワクチンキャンペーンが実施されて
 います。
リスク評価
・アンゴラでの流行は未だに高い懸念が残っています。
 ・ほぼ600万人がワクチン接種を実施したにも関わらず、ルアンダでは限局的な流行が持続しています。
 ・限局的な流行はルアンダを含む6つの人口密度の高い州で報告されています。
 ・近隣諸国への流行拡大の危険性が高く、既に中国、DRC、ケニアでアンゴラ由来の感染が確認されて
 います。
 ・現地調査ではDRCでの地域流行の危険性が高いとの結果が出ています。

図 2016年4月24日における黄熱の患者分布


【出典】
WHO, Situation Report
-ZIKA VIRUS DISEASE, YELLOW FEVER, EBOLA VIRUS DISEASE- 28 APRIL 2016
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/205686/1/WHOsitrep_28Apr2016_eng.pdf?ua=1