(No.68)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-サウジアラビア
8月18日更新

 2017年7月4日から8月12日の間に、サウジアラビア国際保健規則(IHR)担当窓口は新たに26人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染例を報告しました。過去に報告された6人の死亡者と、前回(既報WHO-DON7月6日更新)の2人の死亡者について報告しました。

症例の詳細情報
 各患者の詳細が書かれた一覧表は出典先よりダウンロードできます。

 新たに報告された26人のうち、13人はジャウフ州の病院における集団感染と関連しています。この集団感染における初発例は8月2日に報告された51歳男性です。現在まで接触者の追跡調査から、12人の感染者が同定されています。その中にはこの初発患者の治療に当たっていた無症候の医療従事者8人、病院での接触者である70歳男性が含まれています。医療従事者、病院および、家庭での接触者のフォローアップが実施されています。
 
 WHOには現在までに全世界で2,066人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち少なくとも720人が関連死しています。

公衆衛生上の取り組み
 サウジアラビアの保健省は各患者とその接触者の評価を実施し、さらなるヒト‐ヒト感染が起こらないように、またMERSのアウトブレイクをコントロールすべく、対策を強化しています。サウジアラビア保健省の対策には以下の様なものが挙げられます。

・リスクの階層化を行い、医療従事者とコミュニティーにおける接触者の積極的な追跡調査を実施する。高リ
 スク者(保護具なしで患者と接触した者、患者の吸入処置に従事した者)については症状の有無に関わらず
 PCR法による検査の実施、医療従事者は専門家により感染の疑いがないと判断されるまで従事を中止する。
・ 訓練された病院の疫学者がアウトブレイク確認時には24時間以内に派遣される。
・一般環境における消毒と汚染地域の最終的なクリーン化を確実に実行する。
・救急科及び外来において呼吸器疾患について視覚化されたトリアージを行い、呼吸器症状がある患者を早期
 に発見し、トリアージフォームに適切に記載できるトレーニングされた看護師を24時間365日配置できる
 ように強化する。
・すべての医療従事者に対して患者早期発見のための症例確定、隔離予防策の実施、個人防護衣(PPE)の適
 切な選択と着脱、手指の衛生、環境の清浄化と消毒について強化トレーニングを実施する
・手指消毒器、PPE、環境表面消毒薬、ポータブルHEPAフィルター、燻蒸消毒器などの感染予防備品が確実
 に使用可能である。
・ 医療従事者にN95マスクのフィットテストを実施する。
・アウトブレイクの発生した施設での医療従事者について、医学的に感染の疑いがないとされるまでは、いか
 なる医療施設での就労やハッジの渡航も認めないという方針を履行する。

【出典】 Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia
Disease outbreak news  17 August 2017
http://www.who.int/csr/don/17-august-2017-mers-saudi-arabia/en/