(No.77)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-アラブ首長国連邦
9月22日更新

 2017年8月23日に、アラブ首長国連邦(UAE)の国際保健規則(IHR)担当窓口は1人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)追加感染例を報告しました。

症例の詳細情報
 Al Ain 市在住の78歳の男性の症例に関する詳細情報は、別の文書で見ることができます(以下のリンク参照)。
MERS-CoV case reported on 23 August 2017 xlsx, 48kb

 世界保健機構(WHO)には全世界で2,081人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち少なくとも722人が関連死しています。

公衆衛生上の取り組み
 UAE保健省は医療従事者と家庭内の接触者の割り出しとフォローアップを実施しています。有症状そしてハイリスクの家庭内接触者と医療従事者に対する検査は進行中です。

WHOによるリスク評価
 MERS-CoVはヒトに重篤な感染症状ひき起こし、結果的に高い死亡率をもたらしています。なおかつヒトからヒトへの感染を起こします。現在までヒト-ヒト感染は主に医療環境で起こっています。
 追加された患者報告からみると全体的なリスクは変化していません。WHOは中東から今後もあらたなMERS-CoV感染の報告例が発生すると予測しています。また動物や動物由来の製品(例としてヒトコブラクダとの接触に引き続いて)に曝露された場合やヒトの感染源(例として医療環境で)に曝露された場合に感染した他国のヒトによって外国にもたらされ続けるでしょう。WHOはサウジアラビアの保健省と密接に活動しており、ウイルスの変異や疫学的状況についてのモニターを継続しています。また入手可能な最新の情報に基づいてリスク評価を行っています。現在まで持続的なヒト-ヒト感染が起こっている、あるいはウイルスの特徴や、疫学的パターンが以前の報告とは異なっているという徴候は認めていません。

WHOからのアドバイス
 現在の状況と入手可能な情報に基づいて、WHOは全ての加盟国に対して急性呼吸器感染のサーベイランスを継続することと、何らかの通常ではないパターンを注意深く検討することを奨励します。感染の予防と制御対策は、医療施設におけるMERS-CoV感染の起こりうる拡大を阻止するためには、決定的に重要です。この疾患の初期症状が他の呼吸器感染症のように非特異的なことから、MERS-CoV感染患者を早期に識別することは常に可能とは限りません。
 従って、医療従事者は、診断の如何にかかわらず、全ての患者に対して常に標準予防策を一貫して適応するべきです。急性呼吸器感染の症状がある患者に対して医療を提供する場合には、飛沫感染対策が標準予防策に追加されるべきです。MERS-CoV感染である蓋然性が高い場合やMERS-CoV感染と確定された症例に対して医療を提供する場合は、接触感染予防策と眼の保護が追加されるべきです。さらに、エアゾルが生じるような処置がなされる場合は、空気感染予防策が適応されるべきです。

【出典】 Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) –Oman
Disease outbreak news  21 September 2017
http://www.who.int/csr/don/21-september-2017-mers-uae/en/