(No.87)

ブルキナファソにおけるデング熱
11月16日更新

 2017年第31週(8月6日に終わる週)以来、ブルキナファソではデング熱が地域内で流行しています。世界保健機関(WHO)は公式に2017年9月28日にアウトブレイクを宣言しました。2016年時における発生と異なり、異なる血清型の複数種デングウイルスが見つかっており、過去の季節性発生数を一気に超えています。

 2017年10月27日現在、総患者数6,699人 (疑い例、可能性例、診断確定例計)死亡例13人(致死率0.2%)と同国では報告されています。報告総患者数のうち、4,428人(ほぼ診断確実例)はデング迅速診断検査(RDT)が陽性であり、ボボディウラッソ市CentreMurazウイルス出血熱研究所においてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が行われた241検体中141検体(59%)で陽性となり、診断確定となっています。さらに72検体の分析で3種類の血清型が分離されています。内訳は2型(58検体)、3型(12検体)、1型(2検体)です。患者の発生は13の保健行政地区のうち12地区で報告されており、そのうち64%が特に中心地、特にワガドゥグー市で報告されています。

公衆衛生対策

*対策活動のコーディネートのために国家流行対策委員会が立ち上げられました。
*疫学的調査が強化され、ワガドゥグー市における患者数の日報や、他都市での週報を提供する早期警戒
 システムが設置されました。
*無料の医療ケアおよび治療がすべての重症例に対して病院(地方および、地域病院)で
 提供されています。関連医療施設に対しては5,000の迅速診断キットが配置されています。
*国家クリニカルマネージメントアルゴリズムを展開し、広めています。
*ラジオやテレビの番組を通じて重要となる注意事項や予防手段について説明し、啓発しています。
*周期的にボボディウラッソ市CentreMurazウイルス出血熱研究所への検体の搬送をしています。
*強化された幼虫から成虫にいたるまで媒介蚊コントロールへの介入を行っています。
  *ワガドゥグー市地域のボランティアの手によって蚊の繁殖場所を無くしています。
  *病院に対して長期残効型防虫処理蚊帳(LLINs)1500セットを配布しています。
  *家庭環境のレベルで成虫蚊のコントロールのために屋内散布を実施しています。

WHOによるリスク評価

 今回のアウトブレイクは改善されたものの未だ限局的であるブルキナファソのデングサーベイランスシステムとの関連で発生しています。疫学第31週のアウトブレイク確定以後も週毎の患者発生数は増加したままであり、且つ過小評価されています。既に疫学上は13の保健行政区のうち12地区に拡大しており、一般の医療機関ではデング迅速診断検査もできない状態です。
 ブルキナファソは2016年にデング熱のアウトブレイクを経験していますがその時はデング2型によるものでした。現在の進行中のアウトブレイクではデング1,2,3型が同定されています。このことは個人のクリニックや末端の地域での医療機関では報告が十分になされていないためにサーベイランスシステムにかかってこない様な重症例の発生に繋がっているかもしれません。
 雨期のあと、蚊の繁殖場所が多くできることにより、感染が起こっている地域で媒介蚊が継続的に存在するのに好条件を与えるかもしれません。特にブルキナファソの都市の末端においては衛生状態が悪く、タイヤや使用済みのコンテナなどネッタイシマカ(主たるデング熱の媒介動物)の孵化に格好の廃棄物の山があるのが特徴です。

WHOによるアドバイス
 
 WHOはデング熱患者の時を失することのない十分な治療を推奨しています。すべての患者発生のある保健行政区でサーベイランスの強化が必要です。キーとなるような公衆衛生上の報道メッセージを出す必要があります。蚊が繁殖する可能性のある場所をなくすため、媒介蚊の数を減らし、個人が受ける曝露を最小限に減らすために統括された媒介蚊対策(IVM)が強化される必要があります。この対策にはベクターコントロール戦略(即ち、環境調整と化学的、生物学的コントロール手段)が個人や家庭での保護についての戦略同様にも含まれるべきです。より詳細な情報については以下を閲覧してください

Vector control strategies

 WHOは疫学的データから見て感染の多く発生している地理的状況(国レベル、或いはそれよりやや低いレベルで)のところにおいてのみCYD-TDVデングワクチンを国は考慮すべきであると推奨しています。推奨事項の全てについてはデングワクチンに対するWHOの解釈というペーパーで閲覧可能です。
WHO position paper on dengue vaccine pdf,473kb

 WHOは利用出来る情報に基づいてブルキナファソや感染の発生している地域への渡航や、交易の如何なる制限も推奨するものではありません。

【出典】
http://www.who.int/csr/don/6-november-2017-dengue-burkina-faso/en/
Emergencies preparedness, response
Dengue fever – Burkina Faso
Disease outbreak news
6 November 2017