(No.2)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-マレーシア
1月18日更新

 

 2018年1月2日、マレーシアの国際保健規則(IHR)担当窓口は、中東呼吸器症候群-コロナウイルス(MERS-CoV)の患者1人を報告しました。 

患者の詳細

 詳細については、下記のリンクをクリックしてください。
MERS-CoV case reported on 02 January 2018
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 マレーシア在住の55歳の男性は、2017年12月13-23日に巡礼グループの一員としてサウジアラビア(KSA)へ旅行しました。この患者は、2017年12月20日にKSAのリヤドにあるラクダ牧場を訪れた際に、ヒトコブラクダへの曝露(低温殺菌されていないラクダのミルクを飲み、ラクダに直接触れた)があったと報告されました。患者は12月24日に発症し、マレーシアで治療が行われ入院しました。現在患者は入院しており、症状はみられません。

 マレーシア保健省は患者と濃厚接触した70人を、厳重に監視しています。その内訳は、患者の家族、患者と同じくウムラ(Umrah)巡礼に行った巡礼者達、医療施設の医療従事者達、そして航空機内での他の濃厚接触者達です。

 1月5日現在、マレーシアではこの患者以外の報告はありません。マレーシア保健省が特定し追跡している70人の接触者のうち、61人は無症状でした。9人には軽い症状があり、隔離病棟に入院しました。9人の接触者から採取された検体はMERS-CoVが陰性であり、その後彼らは病院を退院しました。症状がない濃厚接触者41人は、MERS-CoVと確定診断された55歳の患者と接触した日から14日間、自宅監視下に置かれました。症状のない濃厚接触者41人のうち22人はMERS-CoV検査が陰性でしたが、残る19人の接触者は検査中です。

 今回の患者は、マレーシアから報告された2例目のMERS-CoV確定例です。マレーシアでは、2014年に前回(1例目)の輸入症例が報告されました。

 2012年9月以降、世界27カ国から少なくとも740人の死亡者を含む2,123人のMERS-CoV検査確定例がWHOに報告されています。

公衆衛生上の取り組み

 マレーシア保健省は下記の予防・感染制御対策を講じています。

1. 上記の患者のような検査診断例に対する全ての接触者を特定します。症状のある接触者は病院で隔離され、MERS-CoVに対するリアルタイムPCR検査を受けます。症状のない接触者は自宅に隔離され、検査で確 定診断された患者との最終接触日から14日間は監視下に置かれます。
2. マレーシアの全域において、特にKSAからの巡礼帰還者においては、「インフルエンザ様の疾患(ILI)」と「重症急性呼吸器感染症(SARI)」に対しより強化した監視を行います。
3. 全ての医療施設において調査対象であるMERS-CoVに対する注意や症例管理を強化します。
4. 全ての医療施設において感染予防と感染制御措置の強化します。
5. ハッジ(Hajj)の巡礼ツアーを提供する旅行代理店に対し、中東旅行中の巡礼者がMERS-CoVに曝露することを防ぐための必要な予防措置をとるように、観光省、マレーシアイスラム開発局およびマレーシアハッジ巡礼基金委員会がアドバイスすることを強化しました。

 KSA保健省は、確定患者がKSAに滞在した期間における感染源を調査しています。

WHOによるリスクアセスメント
WHOによるアドバイス

  
 各国は、MERS-CoV流行地域への旅行中にMERS-CoVに感染することを防ぐ手段を、旅行者達に伝える必要があります。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Malaysia
Disease outbreak news
8 January 2018
http://www.who.int/csr/don/08-january-2018-mers-cov-malaysia/en/