(No.3)

コレラ-タンザニア連合共和国
1月19日更新

 

 2015年8月15日から2018年1月7日まで、タンザニア共和国(タンザニア本土とザンジバル諸島)の全26地域で、542人の死亡者を含む33,421人(致死率 1.62%)のコレラ感染が報告されています。このアウトブレイクでは、タンザニア本土から全症例の86%が報告されました。5歳未満の子ども達は患者の11.4%を占めました。このアウトブレイクが始まって以来、7,000件の検体が検査され、47%でVibrio cholerae の培養が陽性でした。

 2017年1月1日から12月31日まで、タンザニア本土とザンジバル諸島(Zanzibar)から99人の死亡者を含む4,985人が報告されています。地理的なコレラの広がりと患者数は、前の2年間と比べ大きく減少しています。2016年の同じ期間ではタンザニア本土とザンジバルにおいて225人の死亡者を含む14,574人が報告されました。2017年には、31週目(2017年の7月31日に始まる週)にムベヤ(Mbeya)地区から、そして43週目(2017年10月23日に始まる週)にはソングウェ(Songwe)地区から最も多くの患者が報告されました。49-52週目の間では、ウビンザ(Uvinza)、ソングウェ、ニアサ(Nyasa)地区で最も多くの患者が報告されました。

 キゴマ(Kigoma)、マニャラ(Manyara)、首都ドドマ(Dodoma)および最大都市ダルエスサラーム(Dar es Salaam)地域における患者数の再燃と、ルヴマ(Ruvuma)、ルクワ(Rukwa)地区でこの流行が始まって以来の患者報告があったことは、多くの他の地域で持続的なコレラ感染リスクが上昇していることを反映しています。2017年1月11日に最後の患者が報告されて以来ザンジバルで患者は報告されていませんが、タンザニア本土から多くの人口が移動しているため依然としてザンジバルにも危険性が及んでいます。

図1:2015年1月1日から2018年1月7日の期間で、発病した週によりタンザニア本土から報告されたコレラの患者数

公衆衛生上の取り組み

 現在、以下の公衆衛生対策が実施されています。

・保健省(MoH)はWHOや他の支援組織(UNICEFと米国疾病予防管理センターCDC)と協力して、国家タスクフォースを通じたコレラの制御活動実施し監視しています。
・2017年12月15日に、MoHと関係者によって国家コレラ対応計画が見直され、批准されました。
・2017年12月29日(金)に、コレラ国家タスクフォース会議が開かれ、コレラ患者数の急激な増加に対応するためウビンザ地区を支援するチームを配備することで合意しました。
・MoHは国家迅速対応チームを、2017年11月の終わりに初めて症例が報告されたルヴマ地区に配備しました。
・地元のラジオ、テレビそしてソーシャルメディアを通じた地域住民への啓発と意識向上活動が進行中です。
・UNICEFは感染世帯において、世帯レベルの水処理と安全な貯水のために水浄化タブレットの普及と流通を支援しています。
・ザンジバルではコレラ排除のため10年計画が策定中です。
・国境を越えて準備と対応活動を強化するため、交流が開始しました。

WHOによるリスクアセスメント

 タンザニア本土、とくに最も活動性の高いムベヤとソングウェ地区において活動的なコレラ感染が続いています。またタンザニアでは監視システムが弱く、コレラの発見は遅れやすい状態のままです。WASH(水・衛生プロジェクト)、患者管理、地域活動、そして監視活動を、アウトブレイクに対する最適な対応のため強化する必要があります。もし対処されなければ、国家全体でさらに患者が増加する可能性があります。国レベルでのリスクは高くなっています。

 ソングウェ地区の国境にあるルクワ湖沿いの漁業キャンプの閉鎖により、漁師達はマラウイ共和国のカロンガ(Kronga)地区に隣接したキエラ(Kyela)地区のさらに南に移動させられました。最近マラウイでは、カロンガ地区においてコレラの流行が報告されています。2国間の国境を越えた人口の移動によりマラウイにおける感染リスク増大が起こる可能性があります。またコンゴ民主共和国(DRC)、ブルンジ共和国、ザンビア共和国、ケニア共和国などの近隣諸国は、すでにコレラの大規模流行を経験しています。地域レベルにおけるリスクは高くなっています。

WHOによるアドバイス

 WHOはコレラ治療センターで適切に、かつ適宜患者管理が行われることを推奨しています。最も効果的なコレラの制御方法は飲料水と水の衛生施設へのアクセスを改善すること、そして感染している地域社会において衛生管理と安全な食品対策を改善することです。公衆衛生上の重要な連絡情報は提供されることが必要です。

WHOは現在の大規模流行において利用出来る情報に基づき、タンザニア本土とザンジバル諸島への旅行および貿易についていかなる制限も推奨しません。

コレラの詳細については下記ファクトシートへのリンクをクリックしてください。
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs107/en/

【出典】
Emergencies preparedness, response
Cholera – United Republic of TanzaniaDisease outbreak news
12 January 2018
http://www.who.int/csr/don/12-january-2018-cholera-tanzania/en/