エボラウイルス病-コンゴ民主共和国（１）
5月11日更新
2018年5月8日世界保健機関（WHO）は、コンゴ民主共和国の保健省から2人のエボラウイルス病確定例が赤道州（Equateur province）のビコロ（Bikoro）保健行政地区で発生したという通知を受けました。
2018年4月4日から5月9日までに、18人の死亡者を含む合計32人のエボラウイルス病患者（うち確定例2人、可能性の高い例12人、疑い例12人）が赤道州のビコロ保健地区から報告されています。32人中3人は医療従事者でした。患者らは発熱、下痢、腹痛、筋肉痛、関節痛、一部は出血徴候や症状も示していました。全ての患者が赤道州の州都ムバンダカ（Mbandaka）から道路で280kmのビコロの中央保健行政地区事務所から30km離れたIkoko-Impenge保健施設の管轄区域から報告されました。2018年5月8日に最初の21人が報告され、17人に疫学的関連性がありました（他の疑い例と潜在的に接触していた）。
入院した患者から5検体（3検体がIkoko-Impengeから、2検体がビコロから）が、採取されました。これらの検体は2018年5月8日キンシャサにある国立生体医学研究所（Institut National de Recherche Biomedicale、INRB）に送られ、Ikoko-Impengeから採取された2検体が同日エボラウイルスの逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応（RT-PCR）で陽性と分かりました。
過去40年間で、コンゴ民主共和国は8回のエボラ流行を経験しました。最近の流行は2017年に低ウエレ州（Bas-Uele）州Likati保健行政地区で起こりました。現在進行中の流行は赤道州にあるビコロ保健地区で起こっており、ここはコンゴ民主共和国西部でコンゴ共和国との国境にあたります。（旧）赤道州でエボラの流行が報告されたのは1976年、1977年、2014年に続きこれで4回目です。しかし、ビコロ保健地区がエボラ流行に直面するのは今回が初めてです。
赤道州の人口は推定250万人であり、284の保健施設が登録されています。ビコロ保健地区は人口約16万3000人で、3つの病院と19の保健センターがカバーしていますが、殆どは機能が限定的です。医療用品は国際機関によって提供されますが、在庫切れがしばしば起こります。
公衆衛生上の取り組み
●コンゴ民主共和国の保健省は赤道州のビコロ保健地区で報告された患者と死亡者を調査するため、迅速対応チームを配置しました。
●WHO緊急対応基金から、100万USドルが用意されました。
●WHOは、全レベルにおける対応を調整する複数の支援組織と機関からなる緊急オペレーションセンターを立ち上げるために、保健省とその支援組織に技術と運営の支援を行っています。
●国境なき医師団は、ビコロ保健地区で患者管理を行うための治療センターを設立しています。
●WHOは、WHO国別事務所と協力しフランス語とリンガラ語（注：コンゴ民主共和国の北西部などで利用されている言語）のリスクコミュニケーション資料を共有しています。
●積極的サーベイランスが、地域社会、Ikoko-Impenege地区、ビコロ総合基幹病院の間で行われています。
●迅速な物流能力、ニーズが確立されています。
●ウェルカム・トラスト（注：英国の医学研究支援団体）は現在同国で行われている対策を支援するために必要な重要調査に、200万ポンドを提供しています。
WHOによるリスクアセスメント
現在までのところ、この大規模流行はへき地で報告されており地理的に限定されたようにみえます。しかし利用できる情報を考慮すると、全国レベルの全体的リスクは高いと考えられます。この疾患（エボラウイルス病）の特性や、流行の規模を推定するための疫学的・人口統計学的情報が不足しているためです。
地域レベルの全体的リスクはコンゴ共和国と中央アフリカ共和国の両方の首都が接しているコンゴ川が近いため中等度と考えられます。
情報は現在のところ限られており、流行の規模を評価するための調査が進行中です。現在利用可能な情報や、WHOとその支援組織が協力している保健省によって実施された迅速な対応措置に基づくと、今回の流行はIHR（2005年、国際保健規則）で定義された「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態（PHEIC）」の基準を満たしていません。またIHR（2005年）に基づく緊急委員会の召集を必要としません。
WHOによるアドバイス
WHOは現在利用可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航および貿易に対するいかなる制限も推奨していません。WHOはこの流行に関連して渡航と貿易措置の監視を継続しており、現在のところ国際的な交通に制限はありません。
エボラウイルス病の詳しい情報は、以下のリンクを参照してください：
Ebola Virus Disease fact sheet
【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo
10 May 2018
http://www.who.int/csr/don/10-may-2018-ebola-drc/en/
2018年4月4日から5月9日までに、18人の死亡者を含む合計32人のエボラウイルス病患者（うち確定例2人、可能性の高い例12人、疑い例12人）が赤道州のビコロ保健地区から報告されています。32人中3人は医療従事者でした。患者らは発熱、下痢、腹痛、筋肉痛、関節痛、一部は出血徴候や症状も示していました。全ての患者が赤道州の州都ムバンダカ（Mbandaka）から道路で280kmのビコロの中央保健行政地区事務所から30km離れたIkoko-Impenge保健施設の管轄区域から報告されました。2018年5月8日に最初の21人が報告され、17人に疫学的関連性がありました（他の疑い例と潜在的に接触していた）。
入院した患者から5検体（3検体がIkoko-Impengeから、2検体がビコロから）が、採取されました。これらの検体は2018年5月8日キンシャサにある国立生体医学研究所（Institut National de Recherche Biomedicale、INRB）に送られ、Ikoko-Impengeから採取された2検体が同日エボラウイルスの逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応（RT-PCR）で陽性と分かりました。
過去40年間で、コンゴ民主共和国は8回のエボラ流行を経験しました。最近の流行は2017年に低ウエレ州（Bas-Uele）州Likati保健行政地区で起こりました。現在進行中の流行は赤道州にあるビコロ保健地区で起こっており、ここはコンゴ民主共和国西部でコンゴ共和国との国境にあたります。（旧）赤道州でエボラの流行が報告されたのは1976年、1977年、2014年に続きこれで4回目です。しかし、ビコロ保健地区がエボラ流行に直面するのは今回が初めてです。
赤道州の人口は推定250万人であり、284の保健施設が登録されています。ビコロ保健地区は人口約16万3000人で、3つの病院と19の保健センターがカバーしていますが、殆どは機能が限定的です。医療用品は国際機関によって提供されますが、在庫切れがしばしば起こります。
公衆衛生上の取り組み
●コンゴ民主共和国の保健省は赤道州のビコロ保健地区で報告された患者と死亡者を調査するため、迅速対応チームを配置しました。
●WHO緊急対応基金から、100万USドルが用意されました。
●WHOは、全レベルにおける対応を調整する複数の支援組織と機関からなる緊急オペレーションセンターを立ち上げるために、保健省とその支援組織に技術と運営の支援を行っています。
●国境なき医師団は、ビコロ保健地区で患者管理を行うための治療センターを設立しています。
●WHOは、WHO国別事務所と協力しフランス語とリンガラ語（注：コンゴ民主共和国の北西部などで利用されている言語）のリスクコミュニケーション資料を共有しています。
●積極的サーベイランスが、地域社会、Ikoko-Impenege地区、ビコロ総合基幹病院の間で行われています。
●迅速な物流能力、ニーズが確立されています。
●ウェルカム・トラスト（注：英国の医学研究支援団体）は現在同国で行われている対策を支援するために必要な重要調査に、200万ポンドを提供しています。
WHOによるリスクアセスメント
現在までのところ、この大規模流行はへき地で報告されており地理的に限定されたようにみえます。しかし利用できる情報を考慮すると、全国レベルの全体的リスクは高いと考えられます。この疾患（エボラウイルス病）の特性や、流行の規模を推定するための疫学的・人口統計学的情報が不足しているためです。
地域レベルの全体的リスクはコンゴ共和国と中央アフリカ共和国の両方の首都が接しているコンゴ川が近いため中等度と考えられます。
情報は現在のところ限られており、流行の規模を評価するための調査が進行中です。現在利用可能な情報や、WHOとその支援組織が協力している保健省によって実施された迅速な対応措置に基づくと、今回の流行はIHR（2005年、国際保健規則）で定義された「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態（PHEIC）」の基準を満たしていません。またIHR（2005年）に基づく緊急委員会の召集を必要としません。
WHOによるアドバイス
WHOは現在利用可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航および貿易に対するいかなる制限も推奨していません。WHOはこの流行に関連して渡航と貿易措置の監視を継続しており、現在のところ国際的な交通に制限はありません。
エボラウイルス病の詳しい情報は、以下のリンクを参照してください：
Ebola Virus Disease fact sheet
【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo
10 May 2018
http://www.who.int/csr/don/10-may-2018-ebola-drc/en/