(No.30)

エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(3)

5月18日更新

 2018年5月14日付けの最新アウトブレイクニュース以来、ムバンダカ(Mbandaka)市ワンガタ(Wangata)保健地帯から確定患者1人を含む5人の新規患者がコンゴ民主共和国保健省によって通知されました。ワンガタ保健地帯はムバンダカ市にある3つの保健地帯の1つであり、ムバンダカ市の人口は約150万人です。利用可能な情報により、患者分類の更新が最近可能になりました1。

 2018年4月4日から5月15日までに、23人の死亡者(致死率52%)を含む合計44人のエボラウイルス病(EVD)患者が赤道州(Equateur Province)にある3つの保健地帯から報告されています。3つの保健地帯からの合計患者数は確定例3人、可能性の高い例20人、疑い例21人であり、それぞれビコロ(Bikoro。合計35人、確定例2人、可能性の高い例18人、疑い例15人)、イボコ(Iboko。合計5人、可能性の高い例2人と疑い例3人)、ワンガタ(合計4人、確定例1人と疑い例3人)でした。ワンガタの4人の患者のうち2人には、2018年4月からビコロの可能性の高い患者と疫学的関連があります。5月15日現在、接触者527人が特定されフォローアップと健康監視が行われています。44人の患者のうち3人は医療従事者と報告されました。図1は2018年5月5日から15日の期間で、利用可能な情報による27人の患者の通知日(殆どの患者では発症日が利用できません)を表しています。図2は保健地帯ごとに患者の場所を示しています。

 図1

 図2
公衆衛生上の取り組み

●コンゴ民主共和国保健省(MoH)は、WHOからの支援を受けて対応を調整しています。
●WHOとMoHは、全支援活動のために保健セクター戦略対応計画を策定し、その予算は2590万USドルです。
●国境なき医師団(ベルギー)により、患者管理のためのエボラウイルス病治療センターがビコロに設置されました。
●MoHによって1つめの移動可能な検査室がビコロに設置されました。2つめの移動可能な検査室はムバンダカで検討されています。
●ベルギーの国境なき医師団、コンゴ赤十字社、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)は、ビコロとイボコにおいて安全で尊厳のある埋葬を支援しています。
●公衆衛生省は支援組織と協力して疫学的サーベイランスを強化しています。コンゴ川流域の入国港と、ムバンダカ市の空港・バスステーションで追加のサーベイランスが行われています。
●WHOは 7540回分のrVSV-ZEBOV(組換え水疱性口内炎ウイルス-ザイールエボラウイルス)エボラワクチンを発送しています。これは150人で構成される50集団分です。すでに4300回分のワクチンが首都キンシャサ(Kinshasa)に到着しています。物流とワクチン接種のチームは、可能な限り早期にワクチン接種を開始するよう配置されています。
●WHOはムバンダカとビコロ間における毎日の航空輸送のために、国連人道支援航空サービス(UNHAS)との調整を続けています。

WHOによるリスクアセスメント

 このアウトブレイクの規模に関する情報はまだ限られており、調査が継続中です。ムバンダカ市は主要な国内・国際河川や道路、国内航空路を持つ大都市です。ムバンダカにおける確定患者の発生は、コンゴ民主共和国とその周辺国に感染が広がるリスクを増大させます。そのためWHOは公衆衛生上のリスク評価を修正し、国レベルではリスクが非常に高い、周辺地域レベルでは高い、としました。世界レベルにおけるリスクは現在のところ低い、としています。さらなる情報が利用できるようになると、リスクアセスメントは修正されます。

 現在の状況および利用できる情報に基づいて、WHOの事務局長は5月18日に国際保健規則(2005年)に基づく緊急委員会を招集するとし、現在のアウトブレイクが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」かどうか、アドバイスを行います2。

WHOによるアドバイス

 WHOは現在利用可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航と貿易にいかなる制限も推奨しないことを継続しています。WHOは今回の事象に関連して渡航と貿易の措置を引き続き監視しています。現在、国際間の交通に制限はありません。

 エボラウイルス病についてのさらなる情報は、下記のリンクを参照ください:
Ebola Virus Disease fact sheet

1. 合計患者数は、進行中の再分類、後ろ向き調査、そして検査結果の利用により変更されることがあります。疾病アウトブレイクニュースで報告されたデータは、保健省によって公式に報告されたものです。
2. 「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」とは、これら規則で述べられているように、非常に大きな事態と定められています。ⅰ)国際的な疾病の拡大によって他国に公衆衛生上のリスクをもたらすこと ⅱ)国際的な対応の調査委が潜在的に要求されること」。国際保健規則(2005年)。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo
17 May 2018
http://www.who.int/csr/don/17-may-2018-ebola-drc/en/