中東呼吸器症候群コロナウイルス（MERS-CoV）感染症-アラブ首長国連邦
5月29日更新
2018年5月16日、アラブ首長国連邦（UAE）の国際保健規則（IHR）担当窓口は、中東呼吸器症候群コロナウイルス（MERS-CoV）感染症の検査確定患者1人を世界保健機関（WHO）に報告しました。
症例の詳細情報
患者は78歳の男性で、UAEのガヤティ（Gayathi）在住です。患者は2018年5月4日に始まった発熱、咳、息切れのため5月13日にアブダビの病院を受診しました。5月14日に下気道および鼻咽頭から検体が採取され、Sheikh Khalifa医学センター検査室で行われた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応（RT-PCR）検査でMERS-CoVが陽性でした。患者は現在入院中で、病状は安定しています。既往歴は高血圧と間質性肺炎でした。感染源の調査は現在進行中です。患者は最近サウジアラビアに旅行したと言っています。またUAEにラクダ牧場を所有し毎日そこを訪れています。
2012年9月以来、MERS-CoV患者は全世界で2,207人であり、787人が関連死しています。全世界の患者数は、現在IHRの下でWHOに報告された検査診断例の総数を反映しています。総死亡者数は、感染が発生している加盟国のフォローアップを通して、2012年以来WHOが認識している死亡者が含まれています。詳細については、以下のリンクを参照してください。
http://www.who.int/csr/don/24-may-2018-mers-oman.xls
公衆衛生上の取り組み
確定患者との接触者は特定され、患者と最後の接触から14日間の健康監視を受けています。UAEの伝染病部門は、UAEにある患者の牧場でラクダの検査を開始するため動物当局と連携しています。
WHOによるリスクアセスメント
MERS-CoVの感染は、重篤な疾患を引き起こし高い死亡率をもたらします。ヒトは直接または間接的にヒトコブラクダと接触することで感染します。またMERS-CoVはヒトからヒトへの感染を起こします。これまでのところ、ヒトからヒトへの感染は主に医療現場で発生しています。
追加された患者報告からみると全体的なリスクは変化していません。WHOは今後も中東から新たなMERS-CoV感染例が発生すると予測しています。また動物や動物由来の製品への曝露（例えばラクダとの接触）や、感染源となったヒトとの接触（例えば医療現場において）の後で感染を獲得した人々によって、他の国々にも患者が輸出されることを予想しています。WHOは疫学的状況の監視を継続し、利用できる最新の情報に基づいたリスクアセスメントを行っています。
WHOからのアドバイス
WHOは現在の状況と利用できる情報に基づいて、全ての加盟国に対して急性呼吸器感染症のサーベイランスを継続し、いかなる稀な症状でも注意深く検討することを要請しています。
医療施設におけるMERS-CoV感染の拡大を阻止するためには、感染の予防と制御対策が重要です。MERS-CoVの初期症状が他の呼吸器感染症様の非特異的なものであるため、MERS-CoV感染患者を早期に特定することはいつも可能とは限りません。このため、医療従事者は診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準予防策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の症状を呈している患者のケアにあたる際には、標準予防策に加えて、飛沫感染対策を行うことも必要です。またMERS-CoV感染の可能性が高い患者やMERS-CoVと確定診断された患者のケアにあたる際は、接触予防対策と眼の防護策を追加すべきです。エアロゾル（微粒子）が発生するような処置を行う場合には、空気感染対策が必要です。
地域社会と家庭におけるMERSの発見と、家庭におけるMERSの予防対策は、家庭内での感染伝播を減らし、地域社会における患者の発生を防げるかもしれません。
MERS-CoVについてさらに解明がされるまで、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人はMERS-CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。このため、MERS疑い患者や確定患者と濃厚接触を避けることに加え、これらの疾患を抱える人はウイルスが潜在的に流行していると分かっているような場所、すなわち農場、市場、家畜小屋のある地域を訪れる際には、動物、特にラクダとの濃厚接触を避ける必要があります。動物に触れる前後は必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣を遵守する必要があります。
食品に対する衛生習慣に注意する必要があります。ラクダの生ミルクや尿を飲むこと、また調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。
WHOは今回の事態に対して入国時に特別なスクリーニングを行うことを推奨しておらず、いかなる渡航や貿易に対してもこれを適応させることを勧めていません。
【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – United Arab Emirates
28 May 2018
http://www.who.int/csr/don/28-may-2018-mers-uae/en/
症例の詳細情報
患者は78歳の男性で、UAEのガヤティ（Gayathi）在住です。患者は2018年5月4日に始まった発熱、咳、息切れのため5月13日にアブダビの病院を受診しました。5月14日に下気道および鼻咽頭から検体が採取され、Sheikh Khalifa医学センター検査室で行われた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応（RT-PCR）検査でMERS-CoVが陽性でした。患者は現在入院中で、病状は安定しています。既往歴は高血圧と間質性肺炎でした。感染源の調査は現在進行中です。患者は最近サウジアラビアに旅行したと言っています。またUAEにラクダ牧場を所有し毎日そこを訪れています。
2012年9月以来、MERS-CoV患者は全世界で2,207人であり、787人が関連死しています。全世界の患者数は、現在IHRの下でWHOに報告された検査診断例の総数を反映しています。総死亡者数は、感染が発生している加盟国のフォローアップを通して、2012年以来WHOが認識している死亡者が含まれています。詳細については、以下のリンクを参照してください。
http://www.who.int/csr/don/24-may-2018-mers-oman.xls
公衆衛生上の取り組み
確定患者との接触者は特定され、患者と最後の接触から14日間の健康監視を受けています。UAEの伝染病部門は、UAEにある患者の牧場でラクダの検査を開始するため動物当局と連携しています。
WHOによるリスクアセスメント
MERS-CoVの感染は、重篤な疾患を引き起こし高い死亡率をもたらします。ヒトは直接または間接的にヒトコブラクダと接触することで感染します。またMERS-CoVはヒトからヒトへの感染を起こします。これまでのところ、ヒトからヒトへの感染は主に医療現場で発生しています。
追加された患者報告からみると全体的なリスクは変化していません。WHOは今後も中東から新たなMERS-CoV感染例が発生すると予測しています。また動物や動物由来の製品への曝露（例えばラクダとの接触）や、感染源となったヒトとの接触（例えば医療現場において）の後で感染を獲得した人々によって、他の国々にも患者が輸出されることを予想しています。WHOは疫学的状況の監視を継続し、利用できる最新の情報に基づいたリスクアセスメントを行っています。
WHOからのアドバイス
WHOは現在の状況と利用できる情報に基づいて、全ての加盟国に対して急性呼吸器感染症のサーベイランスを継続し、いかなる稀な症状でも注意深く検討することを要請しています。
医療施設におけるMERS-CoV感染の拡大を阻止するためには、感染の予防と制御対策が重要です。MERS-CoVの初期症状が他の呼吸器感染症様の非特異的なものであるため、MERS-CoV感染患者を早期に特定することはいつも可能とは限りません。このため、医療従事者は診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準予防策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の症状を呈している患者のケアにあたる際には、標準予防策に加えて、飛沫感染対策を行うことも必要です。またMERS-CoV感染の可能性が高い患者やMERS-CoVと確定診断された患者のケアにあたる際は、接触予防対策と眼の防護策を追加すべきです。エアロゾル（微粒子）が発生するような処置を行う場合には、空気感染対策が必要です。
地域社会と家庭におけるMERSの発見と、家庭におけるMERSの予防対策は、家庭内での感染伝播を減らし、地域社会における患者の発生を防げるかもしれません。
MERS-CoVについてさらに解明がされるまで、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人はMERS-CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。このため、MERS疑い患者や確定患者と濃厚接触を避けることに加え、これらの疾患を抱える人はウイルスが潜在的に流行していると分かっているような場所、すなわち農場、市場、家畜小屋のある地域を訪れる際には、動物、特にラクダとの濃厚接触を避ける必要があります。動物に触れる前後は必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣を遵守する必要があります。
食品に対する衛生習慣に注意する必要があります。ラクダの生ミルクや尿を飲むこと、また調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。
WHOは今回の事態に対して入国時に特別なスクリーニングを行うことを推奨しておらず、いかなる渡航や貿易に対してもこれを適応させることを勧めていません。
【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – United Arab Emirates
28 May 2018
http://www.who.int/csr/don/28-may-2018-mers-uae/en/