(No.39)

コレラ-カメルーン
2018年6月18日更新

 2018年5月18日から5月21日までに、カメルーンのMayo Oulo保健地帯、ナイジェリアとの国境にあるカメルーン北部の2つの保健地区においてコレラの疑い例が3人、死亡例なしと報告されました。Guirviza 保健地区(n = 2)とDoumo保健地区(n = 1)です。

 2018年5月18日に、Guirviza 保健地区のMbouiri村からの最初の患者2人(同じ家庭の26歳と30歳の女性)がGuirviza統合保健センターを受診しました。 5月19日に、この患者らは入院し、便検体が採取され、診断のためにGarouaにあるカメルーンパスツールセンター(CPC)に送られました。 5月21日、Doumo 保健地区から3人目の患者(30歳女性)が保健施設を受診し、入院しました。検体は検査診断のために送られました。

 報告された3人の患者はナイジェリア国境からの食物を摂取し、その後に発症しました。 5月23日、GarouaにあるCPCは、Guirviza 保健地区の疑い患者2人について結果を発表しました。1人はvibrio cholera陽性、もう1人は陰性でした。 Doumoからの3番目の患者は便の検体が不十分であり1)、検査されませんでした。患者は全て女性で、地元の保健施設で治療されています。 5月21日以降、新たな患者は報告されていません。

 GuirvizaとDoumo保健地区はカメルーン北部の到達が困難な地域にあります。これらはナイジェリアの国境に近く、ボコ・ハラム運動(注:ナイジェリア北部に拠点を置くイスラム過激派組織)の結果、非常に不安定な可能性があります。

2014年に同じ地域で最新のコレラ流行があり、1,500人以上の患者が報告されています。

公衆衛生上の取り組み

 世界保健機関(WHO)とその支援組織はこの流行に対する対応活動を支援しています。現在行われている対応は、以下の通りです。

 WHOの国担当事務局(WCO)はサーベイランスを強化しています。患者リストが作成され、配布されています。感染発生地域での積極的患者調査や近隣地区での警戒が進行中です。
 疫学的状況報告書が作成され、配布されています。
 2018年5月24日時点で、コレラキットが配布されています。
 2018年5月24日時点で、WHOと支援組織は水の供給源で塩素処理を行いました。さらに医療施設で患者の隔離と治療が行われています。
 コミュニケーション活動と社会動員が進行中です。村や地域の保健医療従事者(CHW)はMayo Oulo市長の支援のもと、人々の意識向上のために政策提言や市民の意識向上を行っています。
 カメルーン北部の知事は地域危機委員会を組織し、議長を務めました。
 カメルーン北部で以前策定されたコレラに関するコンティンジェンシープラン(リスク発生時の事前対策)は、今回の流行確認に基づき稼働しています。
 今回の流行に対応するため、カメルーン保健省、WHO、県保健局管理チーム(ECD)、地域予防・流行病センター(CEPRLE)といった複数ステークホルダーによる協議会が開催されました。
 2018年5月24日時点で、感染発生地区の首長と保健センターは患者管理について説明を受け、症例定義の普及が進行中です。

WHOによるリスクアセスメント

 コレラは急性腸管感染症で、便で汚染された水や食品に存在するコレラ菌(Vibrio cholerae)の摂取によって引き起こされます。安全な水と適切な衛生設備への不十分なアクセスが主に関連しています。コレラは潜在的に重大な感染症であり、高い罹患率と死亡率を引き起こす可能性があります。曝露の頻度や曝露された人口およびその状況に応じて、急速に広がる可能性があります。

 カメルーン北部にあるMayo Oulo地区は、現在起きているコレラ大規模流行の発生地であるナイジェリアのアダマワ州(Adamawa)Mubi地区西側と接しています。感染発生地域は僻地であり、(ボコ・ハラムによる)紛争地域では患者数が過少報告されている可能性があります。

推定人口が50万人を超えるMayo Oulo地区の感染発生地域とナイジェリアのMubi地区の間では、約42kmの距離があります。 (ナイジェリアとチャド共和国の間の)場所と行き来しやすい国境、およびこれらの地域間で人々の移動があるために、さらなる感染拡大が除外できません。

 カメルーン北部における中央アフリカ難民(約21,197人)は衛生状態が悪く、感染発生地域では治療へのアクセスが限られており、コレラの拡大につながる可能性があります。また武装した盗賊組織により繰り返される誘拐と身代金の要求、頻繁な攻撃などという不安定さを示す複数の報告があります。この治安情勢が対策活動に影響を及ぼす可能性があります。

 情報が利用出来るようになると、今回の流行は引き続き監視され評価されます。

WHOによるアドバイス

 WHOは安全な水と衛生設備、適切なゴミ管理、食品の安全性、およびコレラ感染を防ぐための衛生設備へのアクセス改善を推奨しています。また重要な公衆衛生上の情報が提供される必要があります。

 特に地域社会レベルでサーベイランスの強化が推奨されます。死亡率を減らすためには感染発生地域で適切な患者管理を実施する必要があります。コレラの流行を迅速に発見し対応するための全国的な準備を確実に行うことは、新たな地域への感染が拡大する危険性を減らすために必要です。人口移動が活発な国境地域でコレラ流行が発生しているため、WHOは各国が協力し定期的な情報共有を行うことを勧告しています。

 WHOは現在の流行で利用可能な情報に基づき、カメルーンへの旅行と貿易に関するいかなる制限も推奨していません。

 より詳しい情報は、以下を参照してください。
 http://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/cholera
 http://www.who.int/cholera/task_force/en/

1. 便検体が十分でない場合、または病原体が生きた状態を保つための適切な容器で採取されていない場合は、不適切と考えられます。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Cholera – Cameroon
14 June 2018
http://www.who.int/csr/don/14-june-2018-cholera-cameroon/en/