(No.46)

エボラウイルス病 - コンゴ民主共和国(10)
2018年7月11日更新

 保健省と世界保健機関(WHO)はコンゴ民主共和国(DRC)におけるエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクの詳細なモニターを継続しています。

 ウイルスに曝露した可能性のある最後の接触者の追跡は、発症することなく21日間の健康監視を6月27日に終了しました。アウトブレイク期間中に現地チームにより2万回以上の接触者への訪問が行われました。

 6月12日赤道州において最後に診断されたEVD患者は、2回連続で検査陰性となりエボラ治療センターを退院しました。アウトブレイクが終了したと宣言するためには、診断確定患者への曝露がある最後の人が、曝露より42日間(潜伏期間の2倍)の観察期間を経過し、かついかなる新規患者もみつからないということでなければなりません。この重大時点に到達するまでは、患者の発生を迅速に検出し対応するための強化サーベイランスを含めた総ての主要な対応の柱を維持していくことが必須です。
 
 この対応における進展を考慮し、WHOは今回のアウトブレイクのリスク評価を修正しました。

 2018年4月1日から7月3日までに、赤道州で報告されたEVD患者は合計53人で、うち29人が死亡(致死率55%)しています。合計人数には38人の診断確定例と15人の疑い例(即ち、検査のための検体採取をする機会が無いうちに死亡した疑い例です。)が含まれます。患者は3カ所の保健行政地区から報告されています。ビコロ(21人:10人は診断確定例、11人は可能性の高い例)、イボコ(28人:24人は診断確定利、4人は可能性の高い例)、ワンガタ(4人:すべて診断確定例)(図2)となっています。5人は医療従事者で、そのうち4人で診断確定され、2人が死亡しています。

 2018年7月3日から5日の間に、WHOとパートナーによるサポートの下、保健省は疫学的な現状の評価、EVD対策計画の進行状況に対する評価、基本的な指導への従事、アウトブレイクの終息まで流行地域において継続的な警戒をするために鍵となる活動や資源の順位決定などのために戦略の見直しを実施しました。この再検討の中にはDRC全土において進行中の緊急医療対策の能力を地域的あるいは国家的に維持する計画とともにアウトブレイク終息後に核となる活動を継続する計画および90日間の強化サーベイランスが含まれています。エボラ治療センターは引き続き稼働し、疑い患者への医療提供を継続する予定です。


               図1

(図1)DRCにおけるEVD診断確定例および可能性の高い例数についての経日的変化2018年4月1日~7月3日(n=53)


               図2

(図2)DRC保健行政地区別、EVD診断確定例および可能性の高い例についての空間的分布 2018年4月1日~7月3日(n=53)

公衆衛生対策
・5月21日から6月30日までのワクチン接種による介入に着手して以来、総数3,330人(イボコ1,530人、ワンガタ893人、ビコロ779人、インジェンド107人、キンシャサ21人)がワクチン接種を受けました。輪状ワクチン接種の対象者には第一線で従事している医療専門家、EVD診断確定例との接触者および接触者との接触者が含まれています。中央ワクチン貯蔵所には2,020回分のワクチンが用意されており、ムバンダカでは870回分が利用可能となっています。
・5月13日から7月3日までの間に、728人の疑い患者アラートが寄せられたため調査が行われ、387人の疑い定義合致症例が検査されました。

【出典】
WHO Emergencies preparedness, response
Ebola virus disease - Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news
6 July 2018
http://www.who.int/csr/don/06-july-2018-ebola-drc/en/