(No.59)

黄熱-コンゴ民主共和国
2018年9月13日更新

 2018年7月5日DRCのビソンゴ在住の20歳男性が前日から続く発熱のためにポワントノアール市ロアンジリにあるビソンゴ医療センターを受診しました。7月9日には黄疸が出現し、発熱も持続していたために、同機関を再診しました。患者には黄熱ワクチン接種既往はなく、また出血症状もありませんでした。患者はそれ以前、発病の2週間前にポアントノアール市の田舎であるニョヨー、Tchiamba Nzassi地区に旅行していました。Tchiamba Nzassiはアンゴラとの国境に沿ったポアントノアール市の田舎の地域です。

 患者は医療機関に入院し、マラリアの治療と抗生剤の投与が行われました。鑑別診断として黄熱が疑われていましたので血液検体が7月10日に採取され、DRCキンシャサにある国立生物医学研究所(INRB)に送致され、7月26日に検査されました。血清学的に黄熱の陽性反応が認められました。7月30日、INRBは確定診断のためにダカールにあるパスツール研究所に検体を送りました。8月21日に血清中和反応において高力価で黄熱に対して反応陽性となりました。

 黄熱の診断が確定したために感染のあった地域での調査が実施されました。ポアントノアール市に登録されている16の医療機関で黄熱の臨床診断基準に合致する例が2018年内にさらに69例見つかりました。疑い例のうち56例はすでに国のサーベイランスシステムに登録されました。疑い例のうち2例はアンゴラへの滞在歴が記録されています。これらの例のうち43人からの検体が集積され、INRBに送致されました。しかしすべての検体では黄熱に関する検査結果は陰性でした。患者発生のあった地域での昆虫学的調査の結果では都市サイクルにおける黄熱の伝播を担っている媒介蚊(ネッタイシマカ)が高密度に生息していることが示されました。そのことはヒト-ヒト感染をおこし、急激に拡大していく可能性のあることを示しています。疑い例の住居の周囲では蚊幼虫の生息場所が見つかっています。雨季が到来すればこの状況はさらに悪化しうるといえます。


【出典】
WHO Emergencies preparedness, response
Yellow fever - Republic of the Congo
Disease outbreak news 7 September 2018
http://www.who.int/csr/don/7-september-2018-yellow-fever-congo/en/