(No.62)

エボラウイルス病 – コンゴ民主共和国(18)
2018年9月20日更新

 コンゴ民主共和国(DRC)におけるエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクから6週のうちに、流行のピークからは全体的な状況は改善しました。しかし、北キブ州のマバラコ、ベニ、ブテンボ保健行政地区で散発例が継続的に検出され、かなりのリスクが残されたままです。大多数のコミュニティは日々の接触監視と予防接種といった対応を歓迎していますが、いくつかの場合、感染伝播のリスクや疾患の悪い結果は予防やリスク軽減行動を採ることを躊躇し、好ましくない行動によって増幅されています。保健行政地区間での絶え間ない人々の移動や、発症しても隠したり、コミュニティが報告に抵抗しているため、接触者追跡を行うことには課題があります。感染予防と管理(IPC)が脆弱であること、安全でない埋葬が散在していること、症例が発見されても到達するのが困難もしくは治安が安定していない地域であるため、地域の医療施設では感染伝播のリスクは高いままです。

 前回のDisease Outbreak News(9月5日現在のデータ)から、8人のEVD新規患者が報告されました。全員が診断確定されています:ベニから3人、ブテンボから3人とマバラコから2人です。8人全員が、ベニのコミュニティから生じた進行中の感染伝播に直接関連しています。

 ブテンボの新規患者3人のうち1人はマンギナ出身の成人男性で、彼の配偶者がEVDと診断されたとき、回復期に彼の精液を検査したことで診断されました。彼がブテンボに渡航してから症状がなかったとすると、この男性からの感染伝播のリスクは最小限です。他の2人の症例は医療従事者で、その後診断された症例(前回のDisease Outbreak Newsで報告された)のケアを行い、3つめの病院への搬送を援助しました。これにより、医療従事者は合計19人となり、18人は検査診断され、3人が死亡しました。19人全員はエボラ治療センター(ETCs)以外の地元の医療施設で曝露しました。

 2018年9月12日現在、EVD症例は、死亡例92人(診断確定例61人、可能性が高い例31人)を含む合計137人(診断確定例106人、可能性が高い例31人)は、北キブ州(ベニ、ブテンボ、カルングタ、マバラコ、マセレカ、ムシエネネ、オイチャ)の7つの保健行政地区とイトゥリ州(図1)のマンディマ保健行政地区で報告されました。週毎の症例発生率は全体的に減少傾向が続いています(図2);しかし、これらの傾向は、症例報告や現在進行中の散発例発の遅れが起こりうることを注意して解釈しなければなりません。130人の可能性が高い例と診断確定例は年齢と性別情報が報告されています:成人は35~44歳(22%)、女性(57%)が最も大きな割合を占めました(図3)。

 アウトブレイクの影響を受けた地域、DRCの他の行政地区、近隣諸国において、ウイルス性出血熱の疑い例のための警報は、引き続き厳しく監視され、迅速に調査されています。アウトブレイクの影響を受けた地域では、15-31の新たな警報が過去1週間に毎日報告され、そのうち4-16の警報が更なる調査と検査が必要な新たな疑い症例として確認されました。9月12日現在、疑い例17人がEVDの検査診断中です。さらに、近隣諸国からのすべての警報と同様に、カサイ州、タンガニーカ州、チョポ州、キンシャサ州は最近の警報によりEVDは除外されました。


図1. DRCの北キブ州とイトゥリ州の保健行政地区におけるEVDの診断確定例及び可能性が高い例の週ごとの分布・2018年9月12日現在(n=137)



図2.北キブ州とイトゥリ州の保健行政地区におけるEVD患者の分布・2018年9月12日現在(n=137)



図3.EVDの診断確定例及び可能性が高い例における性別、年齢別分布・2018年9月12日現在(n=130 年齢性別不詳7人)


【出典】
Emergencies preparedness, response
Ebola virus disease - Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news 14 September 2018
http://www.who.int/csr/don/14-september-2018-ebola-drc/en/