(No.71)

エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(22)
2018年10月16日更新

 コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病(EVD)発症への対応は、危険な地域、特にベニでの安全保障上の課題により、ますます弱体化させられています。これらの出来事は、市民と最前線で働く者の両方に深刻な影響を与え、EVD対応活動の中断を強制し、ウイルスが広がり続けるリスクを増大させます。WHOは、反政府勢力と政府軍の間の紛争と、反応し抵抗する小さな集団とを区別しています。最近の新たな症例の発生率の増加(図1)は、対応チームが直面する多くの課題の結果です。これは、地域社会からの積極的な監視と報告の改善も反映しています。

 前回の疾病流行情報(10月2日)から、新たに29名の感染確定EVD患者が報告されました。すなわち、北キヴ州のベニから23名、ブテンボから4名、マバラコから1名、マセレカから1名です。これらの患者のうち15人は、それぞれの地域社会における既知の患者もしくは感染伝播の鎖(transmission chain)とリンクしていました。一方、直近報告症例の14人は調査中です。

 2018年10月9日の時点で、122人の死亡(確定例87人、可能性が高い例35人)を含む、合計194人のEVD症例が北キヴ州の7つの保健行政地区(ベニ、ブテンボ、カルンガタ、マバラコ、マセレカ、ミュジャネーヌ、オイシャ)とイトゥリ州の3つの保健行政地区(マンディマ、コマンダ、Tchomia)で報告されています(図1)。週あたりの患者発生数は全体的に増加傾向が見られます(図2)。しかし、これらの増加傾向は患者の報告、散発例の継続した検出、制限された接触者追跡や警戒調査の安全上の問題など、予想される遅延を考慮すると、過小評価される可能性が高くなります。年齢と性別が判明している確定例と可能性が高い例を合わせた194人のうち、大部分(64%)が15~44歳でした。女性は55%で大きな割合を占めています(図3)。最後の疾病流行情報の更新以来、医療従事者の感染が新たに1人報告され、累計では、20人(確定例19人、可能性が高い例1人)がこれまでに感染しており、3人が死亡しています。

 MoHとWHOおよびその支援組織は、感染発生地域と、DRCの他の全ての州、そして周辺の国々で全ての警報を監視し調査しています。2018年10月9日現在、疑い例25人が検査結果を待っている状態です。10月4日以来、周辺の国々とDRCのいくつかの州で警報が調査されました。現在までに、周辺の州と国々からの全ての警報でEVDは除外されています。



(図1)



(図2)



(図3)


【出典】
WHO Emergencies preparedness, response
Ebola virus disease-Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news 11 October 2018
http://www.who.int/csr/don/11-october-2018-ebola-drc/en/