(No.76)

エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(25)

2018年11月5日更新

 過去4週間で症例発生率(図1)の増加が確認され、特にベニ市とブテンボ周辺地域の都市で顕著でした。治安情勢は未だ悪く、民間人と最前線の労働者に深刻な影響を与えています。さらに、地域社会の抵抗や嫌悪感を抱く地域では、新規患者の適時発見と対策活動の有効性を妨げ続けています。 それにもかかわらず、エボラウイルス病(EVD)の発生に対する対応は、事例調査、予防接種、地域密着と優先地域におけるリスクコミュニケーションを実施する現場チームの強力な実績を含め、過去数週間にわたって大幅な改善を見せています。

 最新の疾病発生ニュース(10月24-30日)以来、新たに32人の確定患者が報告されています:ベニから24人、ブテンボから7人、Vuhoviから1人です。ブテンボから報告された7人の新規患者は、都市内および周辺の郊外および村に住んでいます。新たに報告された患者の内、報告の時点で14人が既知の確定患者と接触していたことが分かっています。また1人は、さかのぼって感染伝播の鎖(transmission chain)とリンクしており、17人は現在調査中です。ベニ周辺の保健施設および病院から、4人の医療従事者が新たに感染しました;これまでに、25人の医療従事者が感染しており、3人が死亡しています。

 2018年10月30日現在、EVD患者は279人(確定例244人、可能性の高い例35人)で、死亡者は179人(確定例144人、可能性の高い例35人)です。北キヴ州にある8つの保健行政地区とイトゥリ州にある3つの保健行政地区から報告されています(図2)。この1週間で新たに14人の患者がEVD治療センター(ETCs)を退院して社会復帰し、現在81人が回復しています。

 北キヴの地域社会で感染伝播が続いていることから、DRCの他の州と周辺国に拡大するリスクは、非常に高いままです。主要な感染発生保健行政地区より広い範囲で、全てのウイルスを検出し、調査や対応する準備を確実に整備しておく必要があります。先週、タンガニーカ州、コンゴ共和国、南スーダン、ウガンダ、イエメンから警報が報告されました。現在までに、周辺の州と国家からの全ての警報でEVDは除外されています。



図1.EVD診断確定および可能性例の週毎の数(発症日の週でカウント)(2018年10月30日現在、総数274人)



図2. DRC北キブ州およびイトゥリ州におけるEVD診断確定および、可能性例の分布(2018年10月30日現在、総数279人)


【出典】
Ebola virus disease -Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news
1 November 2018
http://www.who.int/csr/don/01-november-2018-ebola-drc/en/