(No.83)

エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(30)
12月11日更新

 
 コンゴ民主共和国(DRC)の北東部におけるエボラウイルス病(EVD)大規模流行発生への対応は、多角的に困難な状態が続いています。WHO(世界保健機関)は、実績が証明されている公衆衛生対策(接触者の追跡、地域社会の関与)と同様に、今回新たに手にしたツール(ワクチンと治療薬)を利用することで、この流行を封じ込め終息させることが可能であると確信しています。

 今回報告された期間(2018年11月28日から12月4日)中に、新たに35人の患者が北キヴ州とイトゥリ州にある9つの保健行政地区から報告されました:Beni(8人)、Komanda(8人)、Katwa(8人)、Vuhovi(3人)、Kalunguta(2人)、Butenbo(2人)、Mabalako(2人)、Maserka(1人)、Mutwanaga(1人)です。KomandaとMabalako保健行政地区における最近の患者は、新たな患者の発見がない長い期間(潜伏期間の2倍を超える期間)に続いて発生しています;ウイルスが再度持ち込まれることの危険性や、強化サーベイランスの必要性が強調されます。Komanadaの患者は、Beniに住む母親とその子供たちに由来しています。Komandaの危険な情勢は対策活動を困難なものとする一方で、接触者の追跡やワクチン接種などの感染コントロール対策は患者発見直後から開始されました。

 不十分な「感染予防と制御(IPC)対策」を行っている公的または私的保健センターが、流行拡大の主要な原因である状況が続いています。報告期間中に、医療従事者から新たに2人の感染が報告されました。また少なくとも1人は、通常の訪問中に、感染した医療従事者からEVDを獲得した可能性が高そうです。現在までに44人の医療従事者(看護師41人、医師3人)が感染し、そのうち59%(26人)が女性です。

 報告期間中に、新たに21人が生存してエボラ治療センター(ETC)を退院し地域社会に復帰しました。Beni(12人)、Butembo(9人)です。これまでに合計142人の患者が回復しています。

 12月4日現在、EVD患者は458人(確定例410人、可能性の高い例48人)で、死亡者は271人です。北キヴ州にある11の保健行政地区とイトゥリ州にある3つの保健行政地区から報告されています(図1)。この大規模流行のエピカーブ(流行曲線)(図2)は、2つの異なるフェーズを表しています。最初のフェーズはManginaを中心とし、1ヶ月以内で大部分がコントロール下に置かれました。二つめの波は、多くの地域またがって発生しており、2ヶ月以上の間1日あたり約5人の新たな患者発生を伴って続いています。最近数週間においては、病気の発症と報告の間の遅延を考慮して、週毎の症例発生における全体的傾向は注意深く解釈する必要があります。

 今回の大規模流行がDRCの他の州と周辺国に拡大するリスクは、非常に高いままです。この1週間では、DRCの複数の州、南スーダン、ウガンダから警報が報告されました。現在までに、全ての警報でEVDは除外されています。

【出典】
Ebola virus disease -Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update
6 December 2018
https://www.who.int/csr/don/06-December-2018-ebola-drc/en/