(No.84)

エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(31)
2018年12月19日更新

 コンゴ民主共和国(DRC)におけるエボラウイルス病の大規模流行は、厳しい状況の中で発生し続けています。地域社会の不関与や紛争が、感染発生地域における対策活動を妨げています。さらに民間や公的な保健センター全体では「感染の予防と制御(IPC)」活動が貧弱であり、大規模流行の主要な原因となっています。また保健分野などの最前線で働く人々への感染リスクとなっています。

 このような難題にもかかわらず、状況に対処する様々な局面で実質的な進捗がありました。また、新たな(流行)対策ツールであるワクチン/予防接種や新規治療薬とともに、公衆衛生対策における成果が日々確認されています。DRC保健省や(WHOの)支援組織とともに、WHOは流行対策活動をさらに拡大しています。WHOは、対策活動を引き続き改善すること、新たなツールを適切に配備すること、対策活動において国際的な取り組みを2019年も継続することの必要性を、特に強調しています。WHOはこの大規模流行を終息させることができると確信しています。

 今回の報告期間(2018年12月5日から11日)で、北キヴ州とイトゥリ州にある10の保健行政地区から新たに37人の患者が報告されました:すなわちKatwaとButembo(18人)、Beni(7人)、Mabalako(4人)、Oicha(3人)、さらにKomanda、Kyondo、Mandima、Musienene、Vuhoviからは1人ずつです。Musienene、Katwa、Butembo保健行政地区では医療従事者から新たに4人の感染が報告されています。合計で51人(確定例49人、可能性が高い例2人)の医療従事者がこれまでに感染しており、うち17人が死亡しています。新たに23人の生存者がエボラ治療センター(ETC)から退院し、地域社会に復帰しました。これまでに計177人の患者が回復しています。

 12月11日現在、296人の死亡者を含む505人のEVD患者(確定例457人、可能性が高い例48人)が北キヴ州にある12の保健行政地区とイトゥリ州の3つの保健行政地区から報告されています(図1)。これらの地区は人口が密集した都市部と、僻地の村が混在しています。それぞれが感染を伝播させる様々な要因を引き起こし、複数の課題をもたらします。患者の発生傾向(図2)は地理的に離れた場所で流行が継続していることを反映しています。10月中旬以来、週あたり平均33人の新規患者が報告されています。ここ数週間はBeniにおける感染伝播の強度に全体的な低下がみられますが、ButemboとKatwaでは流行が悪化しており、新しい患者群(クラスター)が他地域でも出現しています。現在のところ、状況は懸念されたままです。

 今週、確定患者との接触した複数の人々がBeniからKisanganiやGomaへ移動したことにより、地理的に大規模流行がさらに拡大するリスクが非常に高まっています。全ての接触者は直ちに追跡され、Beniに戻った後21日間のフォローアップを完了しました。潜在的な(EVD発症)リスクがある患者について、GomaおよびGomaとButemboの間の町から複数の警報がありました。彼らは適切に隔離され、検査でEVD陰性と報告されました。全ての潜在的なリスクがある患者を迅速に発見し対応するために、北キヴ州とイトゥリ州の他の地域とDRCの他の州、周辺の国々は対策準備と活動を拡大する必要があります。

【出典】
Ebola virus disease -Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update
13 December 2018
https://www.who.int/csr/don/13-December-2018-ebola-drc/en/