(No.2)


エボラウイルス病-コンゴ民主共和国

2019年1月7日更新

 保健省(MoH)、WHO、そしてそのパートナーは、コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病(EVD)の大規模流行に対応し続けています。流行地域の地元住民の多くは活動に対して好意的ですが、幾つかの地域では、安全に支障を来すため活動を一時的に中断しています。2018年12月27日には、ベニにある政府庁舎における抗議活動が、エボラ搬送センターにまで及び、EVDの検査を待つ患者や医療従事者を恐怖に陥れました。同センターの医療従事者は一時的に撤退し、ほとんどの患者は近隣の治療センターに移送されました。WHOは、現在の不安定な状況が流行を抑制するための努力に及ぼす悪影響について懸念しています。野外活動を強化して以降、最近ベニで患者数が減少した事例を含め、多くの地域で流行の抑制するための著しい改善が認められています。EVDの感染拡大を招く不安定な期間が遷延すれば、これらの成果は失われてしまうでしょう。大規模流行を終息させ、可及的速やかに正常な社会活動を再開させることに焦点を置きつつ、全団体は引き続き職員の安全確保に心を砕いている状態です。WHOは状況を注視し続け必要に応じて対応を調整します。

 2018年12月26日までに、確定例543人、可能性の高い例48人を含む、591人のEVD患者が、隣接する2つの州(北キヴ州、イトゥリ州)の16の保健行政地区から報告されました(図1)。これらの患者のうち、54人が医療従事者で、うち18人が死亡しました。全体で357人が死亡しました(致死率60%)。これまで10人の患者がEVD治療センターから新たに退院し、全体として203人の患者が回復しました。15-49歳が最多の60%(589人中355人)を占め、うち228人が女性でした。1歳以上の小児(特に女児)と15歳以上の女性において、高い発病率が認められます。

 図2のように、症例発生数の傾向を見ると、地理的に分散したこれらの地域で、流行が継続していることが反映されています。10月下旬以降、Beniにおいて全体的に週ごとの新規患者の発生が減少しています。しかし、他の保健行政地区にあるButembo、Katwa、そしてその他の地域では、感染が拡大しています。13の保健行政地区において、合計109人のEVD確定例が直近21日間で報告されました(2018年12月5-26日)。その多くは、Katwa(26人)、Komanda(21人)、Mabalako(15人)、Beni(14人)、Butembo(10人)といった保健行政地区の主要な都心部や町に集中していました。最近イトゥリ州における新たな流行地域であるNyankunde保健行政地区において、コマンダにおいて感染したと予想される孤発した症例が見つかりました。この症例は、イトゥリ、北キヴ、そして周辺の州及び国々において、流行が持続的に拡大することによる持続する高い危険性とあらゆる領域での対応の強化を行う必要性を示しています。

 MoH、WHO、そしてそのパートナーは、コンゴ民主共和国のその他の州及び隣国において、流行地域のあらゆる警報を注視し、調査しています。前回の報告が出されて以来、ウガンダと同様にコンゴ民主共和国のいくつかの州において、警報は調査されました。現在までに、上述の流行地域の以外の地域で、EVDの全ての警報が解除されています。
 




図1:2018年12月26日時点での、コンゴ民主共和国の北キヴ州及びイトゥリ州の保健行政地区における、エボラウイルス病の確定例及び可能性の高い例(n=591)





図2:週ごとの新規発生エボラウイルス病の確定例及び可能性の高い例(2018年12月26日) (n=591)*
※ここ数週間のデータは、診断の確定と報告が遅延しつつあります。この時期の傾向は慎重に解釈する必要があります。





【出典】
Ebola virus disease - Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update
28 December 2018
https://www.who.int/csr/don/28-december-2018-ebola-drc/en/