黄熱―ブラジル
2019年2月11日更新
ブラジルは現在、12月から５月にかけての黄熱の流行期にあります。黄熱がこれまで流行していた地域から、過去2度の流行の波の訪れ（図１）により、これまで黄熱のリスクのないとされてきた大西洋沿岸の地域である南東部にまで流行拡大しています。一つの流行の波は2016年～2017年の流行期に発生し、778人の患者が発生し、うち262人が死亡しました。もう一つの流行の波は2017年～2018年にかけての流行期に発生し、1376人の患者が発生し、483人が死亡しています。
2018年12月から2019年1月の間に、患者はブラジルの2州、11県で361人の患者が発生し、8人の死亡が報告されています。サンパウロ州の南部の7つの自治体：El dorado（16人）、Jacupiranga（1人）、Iporanga（7人）、Cananenia(3人)、Cajati(2人)、Pariquera- Acu（1人）、Sete Arras(1人)では確定例を報告しています。同州ではさらにMinas Gerais州との境界のVargem(1人)、Serra Negra（1人）が、確認されました。更にParana州東部に位置する2つの自治体AntoninaとAdrianopolisで2人の患者が診断確定されています。これらは2015年以来、国境を有する人口の多いParana州からの初めての黄熱診断確定患者となります。確定患者のうち89％（32/36人）は男性です。年齢中央値は43歳で少なくとも64％（23/36人）は農業従事者です。
これまでの2018年～2019年（2018年7月～2019年1月）流行期におけるSao Paulo州9自治体での患者数やParana州における黄熱のヒトや動物間の流行をみると、第3波となる流行の波の始まりと同国の南東部及び南部地域へのアウトブレイクの拡大を示しています。（図２）過去2回の大きな季節性のピークと同様に今年もヒトで多くの感染者が発生するというには早計かもしれませんが、ウイルスの伝播が免疫獲得人口が低い南部に向かって拡大し続けていることが分かります。
（図１）2016年～2019年におけるブラジルでの発症日による黄熱診断確定患者の分布 出典：ブラジル保健省（2016年～2018年、2018年12月15日現在）およびサンパウロ州保健事務局（2018年12月15日～2019年から１月26日）のデータを基に全米保健機構（PAHO/WHO）が改変
（図２）ブラジルにおける動物間およびヒトでの黄熱診断確定例の分布（2016年1月1日～2019年1月26日）
ヒト以外での霊長類（NHP）における流行
2018年7月1日から2019年1月18日までの間に5カ所の連邦機関から25例の動物間での黄熱の報告がなされています。Sao Paulo州（13例）、Rio de Janeiro州（8例）、Minas Gerais州（1例）、Mato Grosso州（2例）Parana州（1例）。過去4週間でSao Paulo州とParana州で動物間での感染例が確認されています。さらにParana州の保健機関は同州沿岸部のAntoninaで死亡したサルに対して行った検査で黄熱が陽性であったと報告しています。地理的に動物間の流行がブラジルで過去2回の季節性の流行期に拡大していたとすれば黄熱に対するワクチン接種政策を採用しておくべきであったという事になります。ワクチン接種推奨地域は2010年の3526都市から2018年には4469都市に増加しています（都市数は全体で5570）。WHOのガイドラインに沿ってブラジルは2017年～黄熱に対するワクチン接種は1回という方針を採用しています。
【出典】
https://www.who.int/csr/don/11-february-2019-yellow-fever-brazil/en/
WHO Emergencies preparedness, response
Yellow fever ― Brazil
Disease outbreak news
2018年12月から2019年1月の間に、患者はブラジルの2州、11県で361人の患者が発生し、8人の死亡が報告されています。サンパウロ州の南部の7つの自治体：El dorado（16人）、Jacupiranga（1人）、Iporanga（7人）、Cananenia(3人)、Cajati(2人)、Pariquera- Acu（1人）、Sete Arras(1人)では確定例を報告しています。同州ではさらにMinas Gerais州との境界のVargem(1人)、Serra Negra（1人）が、確認されました。更にParana州東部に位置する2つの自治体AntoninaとAdrianopolisで2人の患者が診断確定されています。これらは2015年以来、国境を有する人口の多いParana州からの初めての黄熱診断確定患者となります。確定患者のうち89％（32/36人）は男性です。年齢中央値は43歳で少なくとも64％（23/36人）は農業従事者です。
これまでの2018年～2019年（2018年7月～2019年1月）流行期におけるSao Paulo州9自治体での患者数やParana州における黄熱のヒトや動物間の流行をみると、第3波となる流行の波の始まりと同国の南東部及び南部地域へのアウトブレイクの拡大を示しています。（図２）過去2回の大きな季節性のピークと同様に今年もヒトで多くの感染者が発生するというには早計かもしれませんが、ウイルスの伝播が免疫獲得人口が低い南部に向かって拡大し続けていることが分かります。
（図１）2016年～2019年におけるブラジルでの発症日による黄熱診断確定患者の分布 出典：ブラジル保健省（2016年～2018年、2018年12月15日現在）およびサンパウロ州保健事務局（2018年12月15日～2019年から１月26日）のデータを基に全米保健機構（PAHO/WHO）が改変
（図２）ブラジルにおける動物間およびヒトでの黄熱診断確定例の分布（2016年1月1日～2019年1月26日）
ヒト以外での霊長類（NHP）における流行
2018年7月1日から2019年1月18日までの間に5カ所の連邦機関から25例の動物間での黄熱の報告がなされています。Sao Paulo州（13例）、Rio de Janeiro州（8例）、Minas Gerais州（1例）、Mato Grosso州（2例）Parana州（1例）。過去4週間でSao Paulo州とParana州で動物間での感染例が確認されています。さらにParana州の保健機関は同州沿岸部のAntoninaで死亡したサルに対して行った検査で黄熱が陽性であったと報告しています。地理的に動物間の流行がブラジルで過去2回の季節性の流行期に拡大していたとすれば黄熱に対するワクチン接種政策を採用しておくべきであったという事になります。ワクチン接種推奨地域は2010年の3526都市から2018年には4469都市に増加しています（都市数は全体で5570）。WHOのガイドラインに沿ってブラジルは2017年～黄熱に対するワクチン接種は1回という方針を採用しています。
【出典】
https://www.who.int/csr/don/11-february-2019-yellow-fever-brazil/en/
WHO Emergencies preparedness, response
Yellow fever ― Brazil
Disease outbreak news