海外感染症情報

　過去1週間に患者数は減少したものの、EVDのアウトブレイクは中等度の強さであり続けていることを疫学的な指標は明らかにしています。KatwaやButemboは懸念される主な保健行政地区ですが､地理的に離れた地域で小規模の患者群の発生が続いています。過去3週間に（2019年1月23日～2月12日）新たに97人の患者が13の保健行政地区で発生しています(図２)。それらの保健行政地区はKatwa（59人）、Butembo（12人）、Beni(7人)、Kyondo (4人)、Oicha(4人)、Vuhovi(3人)、Biena(2人)、Kalungata (2人 )、Komanda (1人)、Maguredjipa（1人）、Mabalako （1人）、Masereka（1人）、Mutwanga（1人）です。Komanda保健行政地区からの最近の報告によりますとウイルスに感染したKatwaの住人がBuniayaやKomandaに旅行したとのことです。この患者はIturi州で最後に報告された症例の1ヶ月後に発生しています。このことは新たな地域での患者発生と同様に、過去に流行の有った地域において､再発の可能性が高いことを示しています。

　2月12日現在、823人のEVD患者（762人が確定例、61人の可能性の高い例）が報告され、そのうち517人が死亡例です（全体の致死率63％）。累計データでは18の保健行政地区内の287保健地域中118保健地域で患者が報告されており、過去3週間以内に37保健地域で患者が報告されています。これまでに283人の患者がエボラ治療センター（ETCｓ）から退院し、専用の監視･支援プログラムに登録されています。Katwa では1人の医療従事者の感染が報告されました。これまでに合計68人の医療従事者が感染しています。

　今週の主な課題は、特にKatwaにおけるコミュニティーにはびこる不信感が存在することです。疑い患者を早期に報告し、ETCｓに治療のために紹介し、地域密着型の予防と対策に努めてもらうようにすることが困難になっています。
しかしこの長期化する困難な事態においても、対策の戦略はEVDの拡大を阻止する効果を発揮していることが実証されています。コミュニティーのメンバーとの関わりを強化することで、コミュニティーの信頼を得ることが対策チームにとって最優先事項となっています。



図1：2月12日現在の発症週数によるエボラウイルス病の確定例・可能性の高い例数（n = 822）



（図２）1月22日から2月11日に報告されたDRC北キヴ州およびイトゥリ州の保健地区別のEVD確定例・可能性の高い例数（n = 101）

【出典】https://www.who.int/csr/don/14-february-2019-ebola-drc/en/
WHO　Emergencies preparedness, response
Ebola virus disease － Democratic Republic of the Congo