感染症情報

感染症の解説 クリミア・コンゴ出血熱とは

 クリミア・コンゴ出血熱は、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスによる感染症で、主にウイルスを持ったマダニに咬まれることで感染します。

 歴史上この疾患は、第二次大戦末期1944~45年にかけて、中央アジアのクリミア地方で当時のソビエト連邦軍兵士の間に重い出血熱が発生した際に、初めて発見されました。
 患者の血液や、兵士達が感染した場所に生息していたマダニの体内から、原因ウイルスが分離され、クリミア出血熱ウイルスと名付けられました。

 一方で第二次大戦後の1956年、アフリカのコンゴ(現在のコンゴ共和国)で発生していた出血熱患者から分離されたウイルスが、コンゴウイルスと名付けられました。

 その後1969年に、クリミア出血熱ウイルスとコンゴウイルスがお互いに同一のウイルスであることが判明し、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスと名称変更された経緯があります。

●発生地域

 クリミア・コンゴ出血熱は、アフリカ大陸、東ヨーロッパ、中近東、中央アジア~中国西部などの、南北アメリカ大陸を除く世界の広範囲に分布しています。

クリミア・コンゴ出血熱発生地域WHO2017

●感染経路

 マダニは森林や畑などに生息し、草木の葉の陰に潜んで、近くを通ったヒトや哺乳類の皮膚に寄生します。

 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスを持ったマダニがヒトの皮膚を咬むこと(マダニ咬傷)によって、ヒトがウイルスに感染します。
 ウイルスはヒトと同じくマダニに咬まれた野生動物や家畜、ペットにも感染するため、感染した動物の血液や体液に触れることでもヒトに感染します。
 同様に、感染したヒトの血液、体液、排泄物や吐物に触れることでもやはり感染するため、医療行為による感染拡大が起きることもあります。

●症状

 ウイルスに感染したヒトのうち20%程度が発症します。感染から2-9日の潜伏期間の後、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、腰痛などで発症します。
 重症化すると様々な程度の出血を来たし、皮膚の点状出血から巨大な出血斑、消化管出血などを生じます。肝不全や腎不全などの臓器障害も生じます。

 致死率は15-40%に達します。

●治療法

 基本的に症状に応じた治療(対症療法)を行います。抗ウイルス薬であるリバビリンによる治療が試みられていますが、効果は定まっていません。

●予防法

 ワクチンはありません。

 流行地域ではマダニに刺されない対策が必要です。蚊除けに用いるディート(DEET)やイカリジンがマダニにも有効です。
 マダニ対策には国立感染症研究所のマダニ対策情報も是非ご参照ください。

 同じく流行地域では野生動物や家畜に近づかないよう、動物の唾液や体液に触れないよう、十分な注意が必要です。

【参考】

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