名古屋検疫所 | Estação de Quarentena de Nagoya | Nagoya Quarantine Station

中東呼吸器症候群(MERS)とは

 中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome: MERS、マーズ)は、MERSコロナウイルス(MERS-CoV: マーズ・コヴィ)による感染症です。

 コロナウイルスの仲間は数10種類あり、その一部はヒトにごく普通の風邪を起こします。
 このうち、中東地域に生息するヒトコブラクダから2012年に新たに発見され、ヒトに重大な感染症を起こすことが判明したものが、MERSコロナウイルスと命名されました。

 なお、2003年にアジアを中心に出現し流行した重症急性呼吸器症候群(SARS、サーズ)の原因となった病原体もコロナウイルスの仲間ですが、両者は互いに異なる病原体であり、感染症としても異なります。

発生地域

 2019年までに報告された患者の殆どは中東地域での発生であり、その大半がサウジアラビアです。他にアラブ首長国連邦、カタール、オマーン、ヨルダン、クウェート、イエメンなどでも発生しています。

MERS発生地域2019

 2015年には韓国で輸入例が発生し、韓国内で一時的に感染が拡大しました。

感染経路

 MERSコロナウイルスは、ヒトコブラクダにも感染し、一部のヒトコブラクダで風邪のような症状を起こします。

 MERSコロナウイルスに感染したヒトコブラクダから、濃厚接触したヒトにうつると考えられています。濃厚接触とは、ヒトコブラクダの飼育などによる唾液の粘膜接触ヒトコブラクダの生乳や生肉(加熱不十分の肉)の喫食を指します。

 また、MERSコロナウイルスに感染したヒトからヒトへの直接の感染も、限定的ながら確認されています。看病していた家族、診療していた医療従事者、病室で同室していた他の患者などに感染するケースが報告されています。

 2019年時点では、季節性インフルエンザのようにヒトからヒトへと広範囲に連続して感染が拡がることは確認されていません。

症状

 ウイルスに感染してから2-14日の潜伏期間を経て、発熱、咳、息切れや呼吸困難で発症します。下痢などの消化器症状を伴うこともあり、発症初期には下痢だけの場合もあります。

 発症者のうち、高齢者、糖尿病や肺疾患などの慢性疾患の患者、免疫不全状態などで重症化しやすく、重い肺炎や多臓器不全に至ります。

 報告されているMERS患者のうち約35%が死亡しています。

治療法

 ウイルスに対する特異的な治療法はなく、発熱や呼吸器症状などに対する対症療法のみです。

予防法

 ワクチンは未開発です。
 予防のためには、ヒトコブラクダとの濃厚接触を避けること、レストランなどでもヒトコブラクダの乳や肉の喫食を避けることが重要です。

【参考】

海外の感染症