感染症情報

感染症の解説 リフトバレー熱とは

 リフトバレー熱(Rift Valley fever: RVF)は、リフトバレー熱ウイルス(以下、RVFウイルス)による感染症です。ヒトと動物の両方に感染し、共に重い病状となる、人獣共通感染症です。

 RVFウイルスは、1931年にケニアリフト渓谷の農場でヒツジの感染症が大量発生したときに初めて発見されました。

 RVFウイルスは多種多様な動物に感染しますが、ヒトへの直接の感染ルートとしては、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ラクダなどの家畜との接触が大半です。

●発生地域

 1931年にケニアで発見されて以降、アフリカ一帯から中東にかけて、家畜等の動物とヒトの両方で発生しています。
 家畜の交易を通じて感染地域が拡大してきました。

 ヒトでの大規模発生は下記のとおり報告されています。

リフトバレー熱のヒトでの主な大規模発生
1977年
1997-98年
2000年
2003年
2006年
2007年
2008-09年
2010年
2012年
2016年
2018-19年
エジプト
ケニア、ソマリア、タンザニア
サウジアラビア、イエメン
エジプト
ケニア、ソマリア、タンザニア
スーダン
マダガスカル
南アフリカ共和国
モーリタニア
ニジェール
マヨット(フランス海外県)

 2019年時点でアジア、ヨーロッパでの発生報告はありませんが、家畜の交易に伴う感染拡大が懸念されています。

●感染経路

 ヒトへの感染経路は、①感染動物との接触、②感染蚊による刺咬、の2種類があります。

 代表的な感染経路は、RVFウイルスを保有している動物の血液や内臓に触れることです。すなわち、感染した家畜などの屠殺解体、分娩介助、獣医による処置、遺体の処理等でヒトに感染します。家畜農家、屠殺業者、獣医の感染リスクは特に高いです。

 また、感染動物の肉や乳未殺菌や加熱不十分な状態で喫食した場合もヒトに感染します。

 さらに、感染動物から吸血したに刺されることでもヒトに感染します。

 ただし、これまでのところ、ヒトからヒトへ直接感染した例は報告されていません

●症状

 ヒトに感染してから2-6日間の潜伏期間を経て、発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛で発症します。項部硬直(首が硬くなること)、羞明(光をひどくまぶしく感じること)、食欲低下、嘔吐を伴うこともあり、髄膜炎と誤診されることがあります。

 多くの場合、症状は4-7日程度で自然に治ります

 しかし、ごく一部の患者は重症化し、網膜炎(0.5-2%)、髄膜脳炎(1%未満)、出血熱(1%未満)を呈します。
 網膜炎に至った患者の50%は失明し、髄膜脳炎の場合は重い神経学的後遺症、出血熱では致死率が50%に達します。

 全体としての致死率は1%未満です。

●治療法

 ウイルスに特異的な治療法はありません。症状に応じた対症療法を行います。

●予防法

 ヒト向けの不活化ワクチンはまだ開発段階にあり、広く使われてはいません。

 流行地に滞在中は、感染が疑われる家畜などに触らないよう、やむを得ず触る場合は手袋などの感染防護具を適切に装着すること、また動物の肉や乳殺菌され十分加熱されたものを食べるよう、注意する必要があります。また、蚊に刺されない対策も必須です。

【参考】

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