中東呼吸器症候群(MERS-CoV)感染症に関する注意

 中東呼吸器症候群(MERS)は、2012年に中東で初めて報告された新種のコロナウイルス(MERS-CoV)による感染症です。中東地域以外でも、中東地域へ渡航居住歴があった者、もしくはその接触者からの患者発生が報告されています。流行が発生している地域に渡航される方は以下のことに注意してください。

渡航前に注意すること

流行の発生は複数の国に及んでいます。MERS-CoV感染の発生が報告された国に渡航する場合には、現在の発生状況に注意してください。
糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全などの持病(基礎疾患)がある方は、一般の人よりも感染しやすいと考えられていることに留意してください。
ラクダはウイルス(MERS-CoV)をもつ中間宿主であることが分かっています。ラクダと接触する機会がある旅行行程については、よく検討してください。

渡航中に注意すること

咳、発熱などの症状が現れた場合には、以下の点に注意してください。
ウイルス(MERS-CoV)との接触の可能性があり、日常生活に支障が出る程度の症状が現れたら、直ちに医療機関への受診を考えること。
 早めの診断、早めの治療が極めて重要です。
他人への感染を避けるために、症状が現れたときの他人との接触は最低限すること。
 マスクは最低限のマナーです。咳やくしゃみをする時にも、可能な限り口と鼻を覆う対策を取り、唾液や痰が付着した物品、衣類などはできるだけ他人に触れさせないようにする心がけが大切です。

海外で医療施設を訪れる機会(病人の見舞い、見学も含む)があったときには、出来るだけ詳しい情報を残すことに努めて下さい。

海外でも普段からの基本的な衛生対策を続けましょう。確実に避けられる対処を怠り感染することは自分の責任です。そのために下記の点に留意しておきましょう。
旅行の基本として、加熱していない肉や不衛生な環境で用意された食品の摂取を避けること。
果実や野菜は料理する前に清潔な水で洗うなどの食品衛生対策を行うこと。
農場の動物、家きん、野生動物に不用意に触らないこと。
 ラクダは威嚇行動でツバを吐くことがあります。ラグダの周辺に近寄ったときには、石けんと水で手をしっかり洗うことが必要です。水がないときには消毒用ジェルの利用も考えることです。
 ラクダとの接触や未殺菌のラクダ乳の摂取は自ら危険に近づくようなものです。

渡航後に注意すること

流行の発生地域から到着された方で、入国時に発熱、咳などの症状がある場合には、検疫所にご相談ください。渡航先でMERS-CoV感染者との接触機会が考えられた場合は、直ちにその旨を検疫所または最寄りの保健所に連絡してください。
帰国してから2週間以内に、発熱、咳などの症状が現れた場合には、速やかに電話にて最寄りの保健所にご連絡ください。
診断が確定するまでは、不必要に人と接触しないことを心がけてください。
健康監視の指示を受ける場合があります。そのときには、毎日の体温の定期報告をしてください。また、症状が現れた場合には、検疫所に連絡を入れて指示を受けてください。

※リスクアセスメントに関する情報は、こちらをご覧ください。

最新ニュース
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)に関するIHR緊急委員会第9回会議でのWHOの声明 (2015年6月18日)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2015/06181530.html

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)について (ファクトシート)(2015年6月8日)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2015/06081138.html

※患者数などの情報は、こちらをご覧ください。

新着情報
中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新63)(2015年8月31日)
https://www.forth.go.jp/topics/2015/08311051.html

参考

国立感染症研究所
MERS(マーズ)コロナウイルス(MERS-CoV)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers/2186-idsc/2686-mers.html

厚生労働省
中東呼吸器症候群(MERS)について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers.html

 

 

2015年6月17日掲載 2015年8月31日更新