記事日付 | 20090130 |
タイトル | ユンガンウイルス Ljungan-スウェーデン:子宮内胎児死亡 |
国名 | スウェーデン   |
感染症名 | ユンガンウイルスLjungan |
概要 | ユンガンウイルスが、ヒトの子宮内胎児死亡に関係していることの、実験および疫学的根拠が示された。 Ljungan virus associated with intrauterine fetal death in humans (Sweden) |
和文 | Ljungan virus (genus _Parechovirus_ パレコウイウルス属, family _Picornaviridae_ ピコルナウイルス科)は、実験用マウスにおいて、胎児死亡や奇形の原因となることが知られていた。今回、このウイルスが、ヒトの子宮内胎児死亡に関係していることの、実験および疫学的根拠が示された。ウイルスは、スウェーデン中央部のLjungan River近郊で捕獲された、野生の保有齧歯類宿主の1種であるthe bank vole (_Myodes glareolus_)から分離された。Ljungan virus(以下、ユ・ウイルス)は、米国の野生齧歯類でも確認されており、同じく齧歯類を主な保有宿主とするcardioviruses, picornavirusesと関係がある。Cardiovirusesとそのヒトへの病原性については、最近の ProMEDでも議論されている。実験用マウスでの研究により、妊娠中にユ・ウイルスに感染した後ストレスに曝露した母マウスの半数以上で、周産期に子マウスが死亡した。水頭症や無脳症などの中枢神経系の異常も認められた。最近のスウェーデンの研究で、子宮内胎児死亡となった患者(母親)の胎盤と組織から、免疫組織化学およびRT-PCR法により、ユ・ウイルスが検出されている。正常妊娠(妊婦)の胎盤をコントロールとしたところ、ユ・ウイルスは検出されなかった。子宮内胎児死亡の発生と齧歯類の増減サイクルの間に、興味深い関係が認められている。また、ユ・ウイルスは、米国の1例の子宮内胎児死亡例でも確認されている;参考資料(多数、原文参照願います) [ModCP注-The genus _Parechovirus_ (パレコウイルス属)は、9つある_Picornaviridae_(ピコルナウイルス科)の属の1つで、2つの種 species, _Human parechovirus_と_Ljungan virus_からなる。Virus Taxonomy (The Eighth Report of the International Committee on Taxonomy of Viruses)によると、ヒトパレコウイルスは呼吸器官と消化器官で増殖する。幼児を中心として感染するが、ほとんどが無症候性と見られている。呼吸器感染や下痢症に加え、中枢神経系の感染症もときに報告されている。細胞病理学的には、電顕像で核の顆粒とクロマチン分布に異常が見られる。Ljungan virusの分離は、ほとんどが齧歯類への感染である。パレコウイルスの予測されたタンパク配列は、非常に多様性divergentであり、ピコルナウイルス科の他のウイルスと一致するタンパクは30%に満たない。スウェーデンと米国で分離されたLjungan virusにも一部に相違点が見られる。] |
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