感染症速報詳細

記事日付 20090202
タイトル ダニ媒介性脳炎-オーストリア:
国名 オーストリア    
感染症名 ダニ媒介性脳炎
概要 より高度の高い地域にダニが広がっている
和文 http://www.prnewswire.co.uk/cgi/news/release?id=247573
the International Scientific Working Group on Tick-Borne Encephalitis (ISW-TBE ダニ媒介性脳炎の国際科学活動グループ)の専門家らは、TBEの危険性について声を上げてきた。今、高所にもダニが棲息するようになり、ハイカーらにも危険が迫っている。地球温暖化現象の1つとして、2008年には初めて海抜1500m以上の地点で、TBEウイルスが確認された。The ISW-TBE は地方病感染地域への全旅行者にとって、TBEワクチン接種を標準の予防策とするよう呼びかけている。予防ワクチンを接種しなかった旅行者は、far-reaching consequences(様々な影響)を受ける可能性がある。ダニにより媒介されるウイルスである、TBE(ダニ媒介性脳炎 のウイルス)は、中枢神経を侵し、軽度の神経障害から、集中力障害、うつ、重度の麻痺さらには死に至るものまで、その臨床症状は多岐にわたる。1990年以降、欧州では157500例以上のTBEが報告されており、年間あたり8755例の計算となる。気候変動により、オーストリアもTBEのハイリスク地域となり、オーストリアにおけるワクチンの接種(カバー)率は例外的に高く、TBEの症例数は、1979年の677例から2008年の86例に減少していると、Friedrich-Loffler-Instituteの教授が説明した。欧州全体としては、TBEは今も報告義務のある疾患には至っていないが、TBEの危険性を周知し、人々にワクチンを受けるよう働きかけていると話した。一旦感染すると、治療はない。
Further information1 http://www.ISW-TBE.info
2 http://www.TBE-prevention.info
3 http://www.tick-victims.info
[ModCP注-the CDC Special Pathogens Branchのウェブサイトのよると、tick-borne encephalitis (TBE)は、中枢神経系におよぶヒトのウイルス感染症である。この疾患は、髄膜炎・脳炎・髄膜脳炎の形で発症することが多い。TBEは、神経系の疾患として最もよく知られているが、軽症の発熱疾患を発症することもある。長期間あるいは永続的な神経精神病学的後遺症が、感染した患者の10-20%に見られる。TBE は、 tick-borne encephalitis virus (TBEV)を原因とし、これは _Flaviviridae_フラビウイルス科のウイルスである。 Far Eastern Eurasia(極東ユーラシア)には、近い関係にある Russian spring-summer encephalitis virus (RSSEV ロシア春夏脳炎ウイルス)があえい、類似の、さらに重症の臨床経過を辿る疾患の原因となる。ダニは、TBEVのベクターでも、保有宿主でもある。主要な保有動物は小型の齧歯類で、ヒトも一時的な保有宿主となりうる。大型の動物はダニの給血者だが、ウイルスを保持する役割を果たすことはない。ウイルスはダニに慢性感染しており、transtadially (from larva to nymph to adult ticks) でも、transovarially (from adult female tick through eggs 経卵感染)でも伝播される。 TBE患者は ダニの活動が活発となる時期(between April and November)に最も多く、ヒトは農村部におけるダニ刺咬により感染する。また、感染したヤギ・ヒツジ・ウシのミルクを生で飲むことで感染することもある。ワクチン接種や感染性エアロゾルへの曝露防止対策が行われるまでは、実験室での感染も多かった。ヒト-ヒト感染は報告されていない。感染した母親から胎児への垂直感染も発生する。TBEは、the ixodid tick reservoir(マダニ)の分布に一致して、欧州、旧ソ連、アジア各地で重要な感染症となっている。
写真 image of an _Ixodes_ species tick, the vector of TBEV http://www.cdc.gov/ncidod/dvrd/Spb/mnpages/dispages/TBE.htm

原文リンク