感染症速報詳細

記事日付 20090207
タイトル 季節性インフルエンザ-台湾:ワクチン不一致
国名 台湾    
感染症名 季節性インフルエンザ
概要 [1] Flu vaccines not as effective this year as in the past(過去に比べて、今年のワクチンの有効性が低い)
和文 http://www.etaiwannews.com/etn/news_content.php?id=855358&lang=eng_news
昨年後半には有効であるとされていたインフルエンザワクチンが、今年の年初に期待されたほどの効果が見られていないことが3日、保健省によって明らかにされた。2008年秋冬に320万人以上の市民に無料で接種されたインフルエンザワクチンにより、2008年の第4四半期のインフルエンザ患者数は、前年同期より著しく減少していると判断されていた。しかし、2009年に入り、患者に対して行われたインフルエンザ検査の結果、予想されたほどの効果を示していないことが分かった。2009年1月に行われた検査によると、2008年秋冬に接種されたインフルエンザワクチンは、H1N1ウイルスの70%・H3N2ウイルスの40%に対して、防御効果が認められなかった。ワクチンは、接種されたヒトの80-90%において当該ウイルスへの効果が見られるときに有効と判断される。当局者は、ワクチンはineffective(有効ではない)と判断している。前CDC責任者は、この問題は、インフルエンザウイルスが、欧米諸国より6ヶ月から2年早く台湾に発生することに一因があることを示唆した。この時間的なずれにより、WHOの勧奨に従い、欧米の製薬会社で生産されるワクチンが、アジアのインフルエンザ流行に付いていけない可能性があるという。台中の密接な関係により、台湾はインフルエンザ感染流行のoutpost前線になっている。WHOは2008年春に、アジアと欧州で蔓延するウイルスの違いに関する調査を開始した。現在、5つの主なワクチン製造業者のうちの2社が中国に進出し、アジア製インフルエンザワクチンはトレンドとなりつつある。インフルエンザウイルスは、流行ごとに少しずつ変化し、大きな変化は5年ごとに起き、ワクチンの効果が弱まる可能性がある。
[2] 専門家ら、アジア製のインフルエンザワクチンへの変更を勧告
情報源: Taipei Times 、2009年2月5日。
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2009/02/05/2003435334
ほぼ同内容
[Mod.CP注-台湾において、前年に比べて今年のワクチン接種により獲得された防御反応が乏しいことの原因として、Vaccine mismatchが引き合いに出されている。これは、ウイルスの遺伝子に変異が蓄積された結果として、流行するウイルスが絶えず変化することによるとされる。台湾で以前に行われた研究で、"台湾のウイルス株が、欧州より2年先行する"とされている。もしそうであるなら、南アジアや東南アジアにとってより必要なワクチンを現地で開発すべきである。台湾における現行ウイルスの、抗ウイルス薬タミフルおよびamantadineへの耐性増加は、臨床現場におけるこれらの薬剤の使用頻度の増加ではなく、ウイルスの変異性という別の要因によると考えられている。これとは対照的に、最近行われた処方箋の分析に基づく欧州での研究(Eurosurveillance, Vol. 14, Issue 5, 2009 http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19112)では、oseltamivir [Tamiflu]の使用とinfluenza A(H1N1)のoseltamivir耐性との関連性は定かではないものの、欧州に置いては、急増する耐性A(H1N1)ウイルスの割合とoseltamivirの使用との関連性を示すデータは得られなかったと結論づけている。]

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