記事日付 | 20090219 |
タイトル | 髄膜炎-米国:(ペンシルベニアPA州)、髄膜炎菌性 |
国名 | 米国   |
感染症名 | 髄膜炎 |
概要 | フィラデルフィアのHealth Departmentは、ペンシルバニア大学で第4番目となり得る髄膜炎菌性髄膜炎の患者を調査している |
和文 | http://www.msnbc.msn.com/id/29226512/ The Philadelphia(フィラデルフィア) Health Department当局者は16日、ペンシルベニアPennsylvania大学で発生した、髄膜炎菌性髄膜炎が疑われる4人目の患者について調査を行っていることを明らかにした。大学側が出した声明の中で、先週この疾患を発症し入院した3人の学生は快方に向かっていると述べられている。この他に同じ社交サークルの2人の学生も、インフルエンザ類似症状のため入院中であるが、両者とも改善しつつある。..当局は今回の感染は、大学のGreek[fraternity/sorority 社交] systemを通じて広がったものと見ている。[髄膜炎菌性]髄膜炎は、歯ブラシの共有、キス、性行為などの濃厚で長時間の接触により感染が拡大する。大学当局は、大学のキャンパス内で複数の患者が発生することはよくあることだとしている。感染の初期症状として、発熱、激しい頭痛、頚部項直、吐き気、嘔吐、発疹、傾眠、羞明などがある。髄膜炎菌感染流行の第1報のあと、2100人以上の学生が予防のための抗生物質を服用している。 [Mod.ML注-毎年米国内では最大3000人が髄膜炎菌性疾患に罹患する。人口10万対0.5-1.1に当たる。発生のピークは、晩冬と早秋である。ほとんどの症例が弧発例で、集団感染は2%以下である。集団発生が起きるのは、半閉鎖集団である、訓練兵キャンプ、学生寮、学校、デイケアセンターなどである。郡市町といった地域において、濃厚接触がなく共通因子のない人々の間で、集団感染が発生することもある。最も感染しやすいのは2歳以下の小児であるが、流行期には5-19才までの年齢層で通常より高頻度に患者が発生する。現在、米国の大部分の感染の原因はserogroups B, C and Y によるものである;serogroup Aは米国ではまれであり、W-135による感染の占める割合は極めて小さい。乳児ではserogroup Bが最も多く、一方65歳以上の患者のほとんどがserogroup Y で占められている。髄膜炎菌性疾患のアウトブレイクの定義は、3ヶ月以内に3人以上の確定もしくは可能性例の発生とされている。これは結果的に、通常の発生率のおよそ10倍である、人口10万対10人以上のprimary disease attack rate 一次罹患率となる。予防内服は、総人口の500-800倍の髄膜炎菌性疾患罹患リスクをもつ接触者に行われる。患者の濃厚接触者とは、同居家族、デイケアセンターでの接触者、患者の口腔分泌物への直接接触者である。濃厚接触者以外の予防内服は勧められない。予防内服の判断材料として、髄膜炎菌_N. meningitidis_のための口腔咽頭および鼻咽頭培養はいずれも用いられない。感染流行が発生した場合、流行と判断されればなるべく早い時期に、リスクのある集団は、適切なserogroupに対する髄膜炎菌ワクチンの接種を受けるべきである。集団への予防接種キャンペーンは労力もコストもかかる。髄膜炎菌多糖体ワクチンは、乳幼児では予防効果がなく、未接種の集団を防御できず、予防効果は最大でもわずか3年しか続かない。このため、繰り返される髄膜炎感染流行への対策が、国家のわずかな医療費を消耗させ、それに見合う効果が見られない。結合型ワクチンを基本とする予防戦略は、ずっと大きく長続きする効果をもたらす。4価(A, C, Y and W-135)の結合ワクチンは、2005年1月に米国で認可された。髄膜炎菌結合ワクチンはT細胞依存性反応を誘導し、乳児においても免疫反応を向上させ、長期間持続する免疫を賦与し、鼻咽頭の髄膜炎菌の保菌を防止し、細菌の感染伝播を減少させる。CDCはいかなる場合でも、大学生および11-18才の集団、新兵、常に曝露のある微生物学者、ハッジHajjの期間のメッカMeccaや髄膜炎菌のhyperendemic or epidemicの状況にある国を訪れる旅行者には、結合ワクチンの接種を勧めている。特に、現地の人々と長時間接触がある、terminal complement component deficiencies(端末補体成分欠乏症)の患者、無脾症の患者に勧められる。PAの当局者の報告によると、3人の患者は有効なワクチンがないserogroup B髄膜炎菌によるものであることが確認されている。分離菌はciprofloxacin感受性であった(過去にCPFX耐性菌の報告あり 20080215.0601)。..] |
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